犬も歩けば・・・

 朝起きると屋根に雪が5センチほど積もっていた。 寒いが子供達は珍しい雪道をキャーキャーと笑いながら通学していく。 子供は元気である。


 そろそろ次の物件である姫路の家の占有者に立ち退いてもらう準備を始めねばならない時期である。 先日から頼んでおいたのだが、嫁さんの知り合いから姫路の司法書士を紹介してもらったのだが、そこへ今朝電話を入れる。 こちらはいちいち姫路まで出向いて動けないので、費用を支払うのでそちらで動いて進めて欲しい、とお願いする。 頼むのは競売に掛からなかった敷地内の5平米の土地の相続名義変更、それが終わってからのその土地の売買の諸手続きと立会いである。 司法書士は当然のことながら一度占有者逢って、売買の同意の確認と親族関係の話を訊きたいとのことである。 そこで電話を入れ世話の人も立会って貰い、さっそく今日午後から逢うことになる。  姫路に向かい司法書士の事務所を訪ねた。 事務所には司法書士の人と奥さんとおぼしき人とツーショットで仲良く写っている写真が掲げてある・・・なるほどこんなことをするタイプの人なんだ、と変な納得をしていたが、逢ってみると何と言うかまさにその通りの人だった。 オフの高校の同級生にも司法書士の男が一人いるが、彼とは似ているような似ていないようなだが、でも職業的な雰囲気と言うものがあって、その点はどこか似ているものがある。
 

 用件を済ませて加古川市へ向かい、駅前の不動産屋で「人気ホーム」というおかしな名前のいかにも街場の不動産屋とおぼしきところを訪ねる。  占有者のお爺さんの移転先のアパートを物色するためである。 現在はお年寄りの独り者の入居はかなり難しいとのことらしい。 まず、身内の身元保証人が絶対必要であるとのことである。 そうなると身寄りのない当のお爺さんは無理だということになる。 ところがたった一つそういうことにあまりうるさくないという駅からそう遠くないところの古い二階建ての木造アパートがあると紹介される。 二部屋付いて共益費込みで三万円の家賃である。 この手の物件は大手の不動産屋でなくて、街場の小さな不動産屋に行けと教えられていたが、まさに正解だった。 後日お爺さんを連れて当のアパートをを確認に行くことになる。 これでズット気になっていた二つの事柄の、とにかく道筋だけでもついて一応ホッとした。


 まさに犬も歩けば棒に当たる、の一日であったが・・・このことわざは本来、犬もむやみに出歩くと棒でぶたれるものだ、ということだったらしいが、最近は出歩いていると、思いがけない幸運の出会うという意味で使われるようになった。 闇雲に物事をやっていると災難にあうという意味から、何でもいいからやっていれば幸運に出会うと意味が転じたのだ。 悪いことを恐れてやらないから、いいことを期待してやる・・・という風に意味が転換したとも取れるが、何となく近代の時代の風潮が意味を変えた、と思える面がある。


 最近、追っているアメリカ大統領選挙から・・・オバマ氏の講演会のレポートのニュースがあった。


 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/20080213/20080213_001.shtml



 この中で感心するのは、 記者の隣の席にいた、オバマ氏の演説を訊きに会場に来ていたい若者の一人のコメントである。
 ≪ 「深刻な顔はしたくないけど、不安はいっぱいあるよ」。隣の席で歓声を上げていたダニエル・ダーゲンさん(21)がそう打ち明けてくれた。
 最も心配しているのは就職問題。米経済の景気後退懸念は日増しに強まり、企業の業績悪化、雇用減が現実化している。同年齢層の兵士が犠牲になっているイラク戦争も人ごとではない。高い医療費や授業料で悩む家族、友人たち、高止まりのガソリン代…。「諸悪の根源」をブッシュ政治に見るのは「ここに集まっただれもが同じ」(ダーゲンさん)だという ≫


 このアメリカの若者は、政治に対してまだ一定の期待感というものを持っている、ということだ。


 それに対してわが日本の政治状況はどうだろう?
 内田樹氏は自らのブログで大阪府知事選挙を以下のように分析している。


 ≪大阪府知事選については、有権者の政治システムに対する無根拠な楽観(「誰がなっても、何とかなる」)と無根拠な悲観(「誰がなっても、どうにもならない」)のアマルガムが表出したものであり、その選択の根拠がいずれも「無根拠」という点で、評価することのむずかしい選択であると述べる。
このあと数ヶ月以内に、メディアは集中豪雨的に橋下知事のスキャンダルと政治的無策に対する攻撃的報道を開始するであろうし、有権者の多くはそれを期待している。
「持ち上げて」から「落とす」のはテレビ視聴者のタレントに対する基本的な態度だからである。
おそらく、それからあとの残任期間、大阪府政は長い停滞を余儀なくされるだろうが、それを代償に差し出しても、府民は「目先のスペクタクル」を選択したのである。
これもまた「何か新しいこと」が始まるより、「見慣れた失望」が繰り返すことを願う有権者の無意識の不安が反映したものと見るべきであろう。
「変革が停止すること。現状がだらだらと続くこと」。おそらく有権者は無意識のうちにそれを望んでいる。≫

 短評であるが、切り込み鋭く核心を正確に突いている。 まさにツボに入っているのだ。
 さらに内田氏は続けて、トドメを刺している。

 ≪「いまこそ根底的変革を」という、その無内容と非実効性が熟知されている擦り切れたスローガンを飽きずに繰り返しているという点に民意の退嬰性は顕著に徴候化している≫
 

 今日の仕事


 午前中だけの仕事となる。 片引きの引き戸三組の内二組を組んで取り付けて固定する。 一間幅の引き戸のもう一組は戸袋の中に入るので、戸が出来て来てからでないと組めない。