気弱

 昨夜は寝苦しかった。 夜中に何度か目が醒めてその都度缶ビールや酒を飲んだ。
 天候が下り坂で蒸し暑かったこともあるが、それ以上に風邪気味で体調がイマイチなのである。 そんな時ジワリト不安に頭を持ち上げてくる。 骨髄腫のことではなくて、むしろ今の当面の健康の問題が第一で・・・つまり五十肩のこととか、風邪気味のこと、それに歯茎が少し腫れていることまで不安になる・・・それにもう一つはここの家をどうするかという問題である。 さらに加西の家が売れなかったらどうしよう、というところまで不安は広がって行く。
 昨夜、寝る前に電話で嫁さんと話し合ったが、嫁さんはこの家をやることは賛成していないだけでなくはっきりと、やめなさい、と言う。 普段のオフなら、そんなことには耳を貸さない。 今、俺はこれをやりたいのだからやる、と言って押し切ってしまう。 だが、夜の不安の中では気持ちがどこまでもぐらついてしまい、些細で余分なことまでくよくよと思い出してしまう。


 小野の曳き屋の人が来る。 家を見て、柱を上げるとしてもどういう仕事になるかの説明を受ける。 書院まわりの四本の柱が問題で、その真ん中に新たに柱を一本立てても良いだろうし、立てなくてもそこの部分の補正は出来るという。 ただ奥の部屋へと続いている柱の補正は難しいだろうと言う。 その説明の中で日本の家というのは捻れるように倒れることを教えられた。 大雑把な見積もりだが、曳き屋仕事だと思っていた以上に安く上がる。 それならやってもらいましょう、となるはずなのに、よしやろうと!という気力がわいてこない。 解体も手掛けていると言うが、こちらはその数倍掛かると教えられる。 とにかく少し熱っぽい自分の身体を直すのが先決なのだろう。


 今日はこれから神戸へ行って休養することにした。