資産デフレの底入れ ?

 朝起きると屋根に雪が積もっているのがまず目に入った。 せいぜい5〜10センチぐらいなんだが・・・緑の椿の葉の上に乗っている雪などはやはり冬ならではの趣きがある。 

 昼飯の準備をしていて、今日はスパゲッティだったのだが、パスタを茹でている途中でガスの火が消えてしまった。 オフはプロパンのガスの契約をしないで、中型のボンベをその都度ガス屋から買って使っているのだ。 仕方なく卓上コンロを取り出して火を付けるが、それもまたしばらくしてガスがなって火が消えてしまう。 予備のボンベを捜し出してようやくパスタを茹であげる。 その後具材を炒めてパスタと混ぜたがコンロが一つで料理をするのはあらためて不便だなぁと再認識した。


 お昼過ぎ木材を倉庫の作業台の上で切ったり削ったりしていると、隣の大工さんが通りかかる。 お酒を飲んでいるのか顔が茹タコみたいに真っ赤である。
 アンタはほんまにようやるなぁ・・・こんな丸ノコとカンナだけを使ってようやるよなぁ・・・と言う。
 ははぁ・・・これしか持っていないもんで・・・と答えると、
 最初はこんな道具だけで仕事なんか出来るか!と思っていたが、アンタはたったこれだけの道具でズットやっているんだから本当に感心してしまったよ、と言う。
 本当はプレナーでも一台あるとだいぶん楽だし、きれいな仕事が出来るんですがねぇ、と答えると
 今時これだけの道具で仕事をしろといわれたって誰もやらないよ、と笑いながら言う。
 
 まあ、オフはこれしかないからこんなもんだと思ってやっているから、別にドウってことはないが、いろいろな道具を使っているとこんな何十年前の道具だけで仕事をしているのを見ると、かえって事情を知った本職のほうが驚いてしまうのだろう。
 それに切り屑もすごい・・・今時こんなに沢山のおが屑を出して仕事をしているのを見ることがなくなった・・・とは、どこへ行ってもお年寄り決まって言われている。 何の因果か、55歳を過ぎてからこんなおかしな仕事を始めてしまって・・・まだ始めて三年目だが、今のところ無我夢中で突っ走っている、といった感じであるが・・・ただ、ただ、自分の中のモチベーションの高さだけが頼りなのである。


 昨日のニュースに <日本の国富、9年ぶり増加・06年末、資産デフレ底入れ> というのがあった。


 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080209AT3S0802308022008.html

  
 そうか・・・1990年に土地の資産額が最高値を付けて以来毎年16年間も下がり続けていたが、一昨年にようやく増加に転じて、いわゆる資産としての土地の価値が底入れしたと言うことになり、統計的には資産デフレは一応終了した、ということになる。
 これに寄与したのはおもに首都圏や大都市圏周辺の土地の値上がりだっただろうと思う。 だが、昨年にはすでに首都圏の土地や建物の値上がりもストップがかかり、マンションなどの売れ行きが急激に悪くなってきていると言う。 日本におけるリート、いわゆる土地や建物に対する資産的な投資は旨味がなくなってしまってファンドマネーなどもそこから逃げ出しているらしい。


 ようやく日本では資産デフレの底入れしたか、と思ったら、もう世界は次の大問題が起きていたのだ。
 いわゆるアメリカ発のサブプライムローン問題である。 日本においてはサブプライムローン問題は、せいぜい大手都市銀行が損害をこうむっただけ、それも欧米の金融機関などから見ると小額の被害だ、という認識が政府高官などにもあるようだが、そんなことはない、そう甘くはないんだよ。


 オフは日本においてリートへの投資が旨味がなくなった原因に、間接的にだがアメリカのサブプライムローンの問題が影を落としていると見る。
 個人レベルの話だが、土地や建物、マンションを買おうとという動きが起きる背後には、それなりの自己資産の増加見込みがある時なのだである。 日本がデフレに突入して以来、当然のことながら日本国中で土地への投資や建物の購入意欲は霧散してしまっていた。 また、働く日本人の個人ベースで収入が増えていると言うことを訊かないのに、首都圏の、それもごく限られた地区で小規模な土地バブル現象が数年前からおきて、それにつられてファンドなどの資金が集まり、いわゆる首都圏でのリートも復活していた。
 それには、まず首都圏でマンションなどを求める人々がいた、という事である。 と言うことはその人たちは自己資産の増加の期待が持っていた、ということでもある。 その背景には、資産ある人々は投資信託などを通じて国外の債権や株式等への資産投資をしていて、それらが好調な世界経済に流れに乗って高配当を受け取っていたのである。 もちろん日本の株式相場も土地とは違って上昇基調の流れにあった。 それらへの投資をしていた人々は当時自己資本の増加が現実に実感出来ていたのである。 そこで首都圏の限られた土地などのバブルが起きていたのである。 だが、サブプライムローンの問題が取りざたされ始めて以来、それらの投資信託などの高配当は終わってしまった。 その結果、日本に於ける土地バブル化はたちまちの内にしぼみ始めてしまったのである。
 サブプライムローンの日本での問題は、現在のところたんに大手銀行が再びいくばくかの不良債権を抱えたというだけ、に限らないのである。 

 
 今日の仕事


 廊下からダイニングへ入る出入り口は片引きの引き戸が入るが、それの縦の方立てと一筋鴨居を作る。 続いて廊下から奥の寝室へ入る出入り口も同じように方立てと一筋鴨居を用意する。 さらに和室と奥の寝室を仕切るための一間幅の一枚戸の方立てと一筋鴨居の仕事をする。 ここには既存の二間の鴨居を再利用することにして、柱当たりの箇所など切り込んだりして細工する。