怖くて逃げ帰る。

 昨日夕方神戸へ出かけた。 この前事故を起こした車の修理部品が届いたのでディラーへ車を預けるためである。 ほんの少しだが板金、塗装などもあるので今週いっぱい掛かるとのことである。 今日は神戸から加西まで車で嫁さんに送ってもらった。
 昨夜は神戸で泊まったのだが、夜、嫌な夢を見た。


 内容は昔商売をしていた頃のことで、オフはその日の売上金からお金を出してかなり個人的な支払いなどを済ませているのだが、その時点ではお金をチョロマカスような悪意はなく、後できれいに清算するつもりでいた。 いくつかそのような流用をしているうちに自分でもいったい幾ら何処へ支払ったか訳が分からなくなってしまってしまう。 悪いことにその時の個々の清算書も何処にあるか分からなくなってしまった。  そこにオフのバアサンが出て来て、とにかくその日の売り上げ金を清算してオフが持ってくるのを今か今かと待っている。
 困ったなぁ、と一人思っているのだが、その内にあることを思い出す。 じつはそのことは今日だけの話ではなくて、かなり前からもたびたび行なわれていたことで、そのことが自分だけ知っているのだが、言い出せないで隠していたことを思い出してくる。 さらに悪いことにそのことを調べようとするが、日々の裏上げ金の記帳がある時点から分からなくなってしまっている。 売り上げの記帳をずっと怠っていたのを思い出しはじめる。 さあ、困ったなぁ・・・それらのことがズルズルとみんなバレてしまう・・・ああ、どうしようか・・・と言うところで目が醒めた。


 目が醒めてから暗い中でしばらくボンヤリしていたが、数日前に内田樹氏の「内田樹の研究室」というブログで、スラヴォイ・ジジェクの『ラカンはこう読め』という本の解説が書いてあったhttp://blog.tatsuru.com/2008/01/31_1135.php 
 その中にジジェクが以下のように書いている、と内田氏が抜粋している箇所があった。


 ≪「夢と現実の対立において、幻想は現実の側にあり、われわれは夢の中で外傷的な〈現実界〉と遭遇する。つまり、現実に耐えられない人たちのために夢があるのではなく、自分の夢(その中にあらわれる〈現実界〉)に耐えられない人たちのために現実があるのだ。」(101頁)≫


  内田氏はそのことについて、さらに以下のように続けて書いている。

 ≪ 現実への覚醒は夢の中で遭遇する〈現実界〉からの逃避である。
あまりに恐ろしい夢を見たときに、私たちはそこに蠢くあまりにおぞましいものから逃れるために覚醒する。
夢から逃避するのだ。
現実では夢の中で遭遇するような「おぞましいもの」に遭遇する可能性はほとんどないからである。≫


 そこで布団の中で考えたのは、夢と現実の対立において、現実が幻想だとするのは分かるが・・・自分の夢の中に現れた外傷的な<現実界>に今耐えられなくなって今オフは目が醒めることで<現実>に逃げてきた訳だが・・・だとしたら、実のところ本当なのは・・・モノゴトのけじめが出来ないで誤魔化してばかりいる良い加減でダメな本当の自分が自分であり、そんな嫌な自分に向き合うことを恐れて・・・目を醒まして現実に逃げてきたわけである。 そのようなあまり向き合いたくない隠されていた本当の自分が夢の中で出てきたというのは・・・じつは恥ずかしながら思い当たることいろいろがあるのである。


 じつはオフは現実では差し迫った問題と悩みを抱えていたのだ。 具体的には、昨年八千代の家が売れたお金を元手に競売で不動産を二件立て続けに落札したのだが・・・そのことについて昨年末に国土交通省から不動産取引価格情報のアンケートが来ていて、それに書き込んで返信すべきなのにしていない。 その後それの催促の葉書も来ていたが、そのままにしている。 さらに追っかけて二件目の姫路の物件のも来ている。
 それに県税事務所から不動産売買の収得税の申告の用紙が二件分二通届いているがそれも放りつけのままである。 さらに、姫路の家の占有者の行く先捜しも頼まれているのにそのままだし、敷地内の小さい土地の売買の件も司法書士に頼まねばならないのにそれもそのままである。 不動産売買での計算を済ませて確定申告する時期なのに、それもそのままである・・・・・・ 

 夢の中で本当の自分が出てきていたのだが、それの先に出て来るだろうさらなる自分に向き合うのに耐えられなくて、目が醒めることでこちら側へ逃げてきた訳である、その先にあらわれてくるだろうさらなる本当の自分の姿が怖かったのである。


 そんなことなどを考えて寝床でモゾモゾしていると、隣の布団で寝ていた嫁さんも目が醒めてしまって、どうしたのよ、と声を掛けてきた。
 夢を見たんだ、と言うと、話してよ、と言うのでかいつまんで今見た夢について話して、さらにその後一人考えていたことについても、アンケートや申告のことも含めて話した後、オフは小便に起きて、一人隣のリビングのソファーで缶ビールを飲んだ。


 今日午前中嫁さんに手伝ってもらって、アンケート二件と収得税の申告二件をようやく書いて、午後からそれを郵送し終えて、少しホッとしているところである。


  今日の仕事 


 奥の寝室の照明器具を和風なペンダント灯からシーリング灯に取り替える。 部屋がL字形に広がったので、部屋の中心位置が変わりそれに合わせて取る付け位置もずらすことになる。 器具の取り付けでビスを打った所に丁度線があったのだろう目の前でショートして火花が散った。 驚いて脚立から落ちてしまった。 さいわい低い位置だったので事なきを得たが、これが高い位置からだったら危ないところだった。 線というのは一度ショートをさせるとダメになることを今更ながら知った。