モードの切り替え

 朝方は今日も氷点下の気温だったのだが、昨日と違い日中は日が差して少しだが暖かい。 それも3時を過ぎまでで、夕方になると急激に冷え込んでくる。 東西を山に挟まれている地形なので、この時期は朝の日が差してくるのがやや遅い。 よって仕事を始めるのは早くても8時半過ぎにしている。


 今週のはじめ神戸にいる時、夕食を済ませた後だったか珍しくオフの携帯が鳴った。 表示を見ると、ム、ム、ム・・・昔の彼女からである。 横にいる嫁さんを気遣って、出ようか、出ないか、少しためらっていたが、出ないとかえって変に思われそうで受信のボタンを押した。 じつはその日の昼過ぎに一度着信があったのだが、その時は出なかった、と言うか掛かっていたのに気が付かなかず、着信あり、になったままにしてあった。
 この昔の彼女のことは、嫁さんに話してある。 と言うかオフの場合、過去の女関係のことは一応かいつまんでだが嫁さんには話してある。
 この彼女とは年に何回か電話が掛かってきたり、掛けたりしてお互いの現況を報告したりしている関係が続いている。 そうだからもちろんオフが再婚したのも、その前にいろいろ女出入りがあった事もこの彼女は知っている。
 前に嫁さんが鬱状態で被害妄想が出ていた時に、相手には夫がいるのでしょ、オフと連絡しているのを知らないような関係なら、そんなのは私は嫌だ、と言われ、それもそうだなぁ、と思い、もうこちらから連絡はしないよ、と約束した。
 そんなこともあり、その後一度携帯からPCにメールが入っていたが、そのままにしてあった。 さすがに、元気なのだろうか、と心配したのだろう、電話ではいきなり、どうしてたのよ?元気だったの、と大きな声で言われてしまった。
 元気だよ、忙しいんだよ、前の仕事場から今度新しい家に仕事場が変わったんだ。 これで三軒目の家になるんだが、今度の家は前の家からそう遠くない所で、加西市という場所なんだが・・・と一気に話しているうちにプツンと通話が切れてしまった。 嫁さんのマンション周辺は神戸市でありながら、携帯の電波が悪いところで、よく通話が途中で切れるのだ。 もしこのまま掛かってこなければこちらから掛けるまでもない、と思っていたが、さいわい再度掛からなかった。
 じつは、例の彼女からだったんだよ・・・と嫁さんに申し訳なさそうに言う。 べつに良いのよ、前は調子が悪かったからあんなことを言ったけれど、オフが掛けたかった掛けても構わないのよ、との返事であるが、正直掛ける気はもうなくなっている、のである。 もし今度一人の時に掛かってきたら、事情を話して、特別なことでもないかぎり連絡取り合うのはやめにしたい・・・と言うつもりである。
 

 それは、それで終わったのだが・・・昨夜嫁さんが電話で、あの後、オフはまるで罪滅ぼしするかのように一人しゃべりまくっていたでしょう、と言われた。 そういえば、たしかにそうだったなぁ・・・と何となく思い出す。 たとえ隠れて悪いことをしても、あれじゃすぐ分かってしまうわょ、あははは・・・と笑われてしまった。


 たしかにそうであるが、その話とはこれは別だが、オフは昔からだが、モードの切り替えが上手ではなく、それに少し時間が掛かってしまう。
 最近で言うなら、週一で神戸に行っても、しばらくあまりしゃべらないでブスッとしていることが多い。 普段一人で仕事をしていて、誰とも逢わない、話さないという日(昨日も今日もそうだったのだが)が多いので、神戸へ行ってもそのダンマリモードからすぐに切り替えが出来ないのである。
 そこで嫁さんによく、オフは今日は機嫌が悪いの?と訊かれてしまうのだ。  


 昔だと、夜遅く仕事から帰った後、やはり一人ブスッとしていることが多かった。 一日家で過ごすことの多かった前の女房は、オフが帰ると待ってましたと言わんばかりに、その日、家にいてあった事、たいがいが面白くないことが多いものだが・・・とうとうと話すのだが、オフはウン、ウンと訊いているのか訊いていないのか分からないような返事しかしない。 その内に、あんた、訊いているの!訊いていないンでしょう!もう金輪際あんたに何も言わないわ!・・・となってしまう。
 しばらくして、酒が入ったりして、ようやくモードが切り替わったオフが、さっき言っていたことだけどさぁ、あの話だけどなぁ・・・と言ってももうその時は、口も訊いてもらえない状態で、もういいのよ・・・と一言で片付けられてしまうことが多かった。


 今日の仕事


 天井板を張って行くが、面倒な傾斜天井から始めた。 梁で区切られている細長い箇所で両脇のところには斜めに隅木が入っている。 その隅木の部分の仕事も大変だが、梁がアールをかいて下がっていてそこの部分を天井板で巻くように張る、これがもっと難しい。 三尺幅の三間の天井を張るのに大方一日掛かってしまった。