まだ、まだ片付け

 今日から大工仕事を始めるつもりだった。 まず手始めに加西市の材木屋へ行く。 今回も比較的近くに材木屋があるのがありがたい。 だが時代の流れだろう、ここの材木屋も八千代と同じように暇そうである。 事務所には誰もいない。 すぐ横にある自宅も留守である。 仕方ないから出直してくるかと思っていたら裏の方から男の人が現れた。 八千代の無愛想で融通の利かない若主人とは違い、愛想が良いとは言えないが融通は悪悪くもなさそうだ。 まあ少々値段が高くても近いし便利だからここを利用するかなぁ、と言う気になる。 とりあえず桧の三寸五分角の4メートルの大引4本と、杉の半柱モルダー3メートル8本買った。 最初の取引だから現金払いだが、領収書を切ってくれ、と言うと、お祖母ちゃんを呼んで来るという。 アレレ婿さんなのか、と思う・・・それにしても40台になっている感じの男に、領収書を切らせないとは・・・なんという家だ! 時間が掛かりそうだから、今度来た時に貰う、と言って帰ってきた。  材を先に作った資材置き場に運び込んだが、ネット注文の垂木、野地板、その他前の現場から運んだ材を合わせると狭い資材置き場はもう一杯である。 


 八千代の向かいの家のオッサンが訪ねてくる。 左官は決めたのか、と言うから、まだだよ、と言うと、良いのを紹介しようか、と言う。
 訊いて見ると、シルバーに行っている男だ、という。 そんな半職人はダメだ、と言うと、いやいや70歳ほどで年は取っているが長年左官職人をしてきた男だ、と言うから、しばらくだけ様子見に使ってみるか、と答えておいた。 
 前の左官屋も向かいのオッサンの紹介だったが、つい先日八千代の家の前で顔を合わせたが、オフが今回また近くで仕事を始めるという話を知りながら、今回も仕事をしたい、とは言わなかった。 顔にはありありと次の仕事を頼みに来ていると書いてあったが、それを言わなかった、というか、言い出だせなかったようだ。 この左官は真面目にコツコツ仕事するのでオフとの相性は悪くはないが、八千代の仕事で最初に自分で出した見積もり額の上に追加の支払いの請求を出してきた。 たしかに予算的にもややオーバーワークになっていると言うのはオフも分かっていた。 そこで途中から、家が売れたらボーナスを出すよ、と言っていたのだが、それを待てませんと追加の請求を出してきた、という経緯があったのだ。  
 自分出した見積もりの範囲で仕事が収まらないから相手に追加を出すと言うのは、これは明らかに仕事上のルール違反だ。オフも追加分を支払いを拒否することも出来たが、ボーナスの話はこれで無しだな、と少し突き放すように言ってことを納めた。
 そんな事があったので今更、また今度も仕事をしたい、とはさすがに言いだしにくかったのだろう。 もちろん当然ながらオフから、今度の仕事もやるか、と誘いはしなかった。  
 向かいのオッサンも、あいつは冬場の仕事が無い時に100万以上の仕事を紹介してやったのに、サービスで俺のところの風呂場の壁を塗り直してくれただけだ、,あんなケチな奴はもう二度と何処にも紹介しない、などと言っているが、これに関してはどちらが欲なのかわからない(笑)


 シルバーからの仕事は、日当が13500円だと言う。 ただし壁材などの材料費はこちら持ちとなるということらしい。 それでも安いことは安いが、年寄りだからどれだけのペースで働くのか分からないし、腕前の方も分からない。 とにかく数日使ってみれば分かることなのだ。
 

 今日の仕事


 午前中材木を買いに行ったりする。 午後からは八千代から要るか要らないか迷うようなものー建具の障子戸やガラス戸などなどと、作業台を運ぶ。 また八千代の倉庫の屋根がまだ少し雨漏りしているようなので、下からと屋根上からコーキングをしておく。
 残っている端材などをクリーンセンターへ運びこんで、最後に倉庫を掃き掃除をする仕事がまだ残っている。