夜明け頃の夢

 前の仕事がおおむね片付いてから三ヶ月間ほどたいしたこともしないでブラブラしていたことになるが、この間徐々に体重が戻り始めて先日血圧の薬を貰うため受診した時には、86キロになっていた。 昨年からのハードな仕事でようやく10キロほどダイエットしたのが、これでほぼ帳消しになってしまったことになる。 身体というのは鈍なもので、ハードな仕事をしなくなってからもしていた時とさほど変わらない食欲が続いていたが、さすがに二ヶ月半ぐらい経過した頃からそれまでと同じような量を食べていると胃にもたれるようになった。 そこでようやくご飯の量を減らしたが、時すでに遅しで、お腹は脂肪がついて無様に膨らんでしまっていた。 オフはもともと油断するとすぐ太る体質な上に、悪いことにちょうど季節が夏だった。  
 昔からオフは夏が来るたびに体重が増えるという傾向にあったのだ。
 まあ、再び新しい仕事が始まることだし、再度ダイエットに挑戦する。 オフは基本的に仕事中は午前中だろうが午後だろうが途中の休憩を取らないことにしている。 仕事を途中で中断したくないからである。 だが、朝から仕事を続けていると夕方4時過ぎ頃になると急激に疲れが出てきて、もう少しも動きたくなくなる。 それでもペースを落として仕事を続けていると、いつの間にか疲れが霧散してなくなってしまう。 思うにこの時に身体は緊急に脂肪が燃焼して、疲れに対応ているのではないかと思われる。 


 昨夜、待望の自家風呂に入って寝たのだが、夜中身体が火照って三度ばかり目が覚めた。 夜中ずっと風が吹いていてシャッターに当たってガタガタいっていたのもあるが・・・そんな寝苦しい夜の朝方だったが、前の女房が夢の中に出てきた。
 彼女は身体に何も付けていない、まさに素っ裸なのである。 素っ裸のまままっすぐ立っている。 だが、たった今水からあがったように全身が濡れている。 ついつい身体の真ん中に見えている黒々とした陰毛へ目がいってしまうが、そこからも水が滴っている。 身体はまっすぐ立っているが目は閉じられていて、なんだか様子がおかしいので身体に触れてみると冷たい。 このままではいけない、と思い抱いて暖めようとするのだが・・・身体は氷のように冷たい。 
 それでもしばらく人工呼吸のようなことをしたり、摩擦をしたりして暖めていると、少しずつ身体が柔らかくなってきて生気が蘇ってきくる。 嗚呼!助かって良かったなぁ・・・と思い心からホッとする。 そこで、馬鹿だなぁ・・・何でこんなになるまで助けを呼ばずに黙っていたのだ・・・と叱るが、それを言った頃から、彼女の身体は少しずつ少しずつ小さくなっていく。 だんだんと小さくなり、とうとうその内にオフの上着の胸の内ポケットに入るくらいの大きさになってしまった。 この大きさなら胸の内ポケットに入れて暖めておけばちょうど良いなぁ、などと思ってポケットに入れるのだが、今度はだんだん紙のように薄っぺらくなって行き、その内にその存在が消えてなってしまったような気がした・・・そこで、嗚呼!とうとう消えてしまったか、と思ったところで目が覚めた。 なんだかむなしい喪失感だけが尾を引くようにこころに残っていた。

 外では時々風でシャッターがガタガタと鳴っていた。 これでは近所迷惑だなぁと思い・・・シャッターの隙間にボール紙でも挟んで音がしないようにしなくては・・・などとぼんやり寝床で思っている内に再び眠ってしまった。


 今日の仕事


 八千代から道具や材料などを運んで来て、整理して箱詰めしては倉庫の奥に積みこむ。 
 倉庫の二階の雑多のものを捨てに行って綺麗にしたが、二階へはモノを持って上がったり下りたりするのはそれだけで結構な労働のなるので、基本的には使わないつもりだ。 居宅と倉庫との間に1・5メートルほどの細長い場所があり、灯油ボイラーだとかタンクだとか置いてあるのだが、この細長い空き地に単管を組んで屋根を作り、4メートルほどの長い木材なども置ける場所を作ることにした。 そのための垂木や垂木受けのクランプなどを夕方買ってきておいた。
 これから仕事をしようとしている倉庫は縦になら二台入るくらいの細長い空間だが、道具や荷物があるので仕事場としては狭い。 仕事場が十分な余裕がなければ、邪魔になった材料の移動ばかりをするような羽目になって、思うように仕事がはかどらないものである。 前の現場で安いのでやや買いすぎたフローリングなどは当面仕事をしない和室の座敷に積んでいる。