落札

 昨夜が中秋の名月の宵であった。 夜中に起きた時にもう夜が明けたのかと思うほど外が明るかった。 ベランダに出て南西の空を見上げると模様もはっきりした月が煌々と照っていた。 その月を見上げながら缶ビールを開けて、静かに飲んだ。


 今日は午前中仕事をしていたが、落ち着かなかった。 と言うのも今日が先日入札した競売物件の開札の日なのだ。 午前十時半開札とあったので、その時間を少し過ぎた頃ネットを開くが結果が出ていない。 11時過ぎごろにもう一度やるがやはり出ていない。 仕方なしに裁判所に電話を入れたら、現在開札をやっている最中で、最終的案結果が分かるのが午後一時半ごろだとの返事だった。 それ以降なら電話口で事件番号を言えば、最高落札額を知らせると言う。 なるほど自分の入れた入札額が分かっていれば、その金額を聞けば落札できたかどうか分かるというものだ。


 昼飯にスパゲティを茹でて食べ。 その後ジリジリしながら1時半を待ちながら、ネットで神戸新聞の落札情報を見ると・・・おおおっ、あったぁ!・・・オフの入れた入札額が落札額であった!!おめでとうオフ君!!!だった。


 とりあえず嫁さんに電話を入れたが、あまり嬉しそうでもなさそうねぇ、と言われるが・・・そんなことはない、嬉しいのだが、合格発表の時のような飛び上がるような気分にはなれない。 ・・・冷凍庫から美味しい珈琲豆を取り出してきて、それを挽いておもむろに珈琲を入れて、それで一人静かに祝杯を上げた。
 その後、その他の物件の落札額などを丹念にチェックする。 標準評価額前後の落札や、4、5倍での落札額の物件があるが、だいたいが二倍前後の数字での落札が多い。 後で裁判所の落札情報が出て今回の物件には九件の入札があったことを知る。 あまり人気がない田舎の農家物件にしては多い数だが、おそらく標準評価額が軽四程度の金額で安かったせいだろうと思う。 九件という数字を見たあたりから、ようやく実感として嬉しさがジワリトこみ上げてきた。 この後審査があり、さらに異議申し立ての期間があって、それで問題がなくて落札額を振り込めば所有権が移転する。 おそらく確定は早くても来月の半ば頃になるのだろうと思う。 それから引越しとなるが、車で10分少々の所だから引越しはきわめて楽である。


 さてさて、これで終わりではない。来月の競売にも参加するつもりなのである。 どちらかと言えばこちらの物件の方が本命で、リフォームを手掛けたい家なのだが・・・敷地が広く六百坪ほどあるので、その分入札額が高いのが悩みである。 その内の必要ないと思える三、四百坪の宅地はすぐにでも何処かの誰かに転売したいのだが・・・これが上手くいかなければその分の資金が眠ってしまう恐れがあるのだが、これは次の難問である。
 
 
 今日の仕事


 昨夜造った二階の階段に塗装をする。 一階の階段の下の電灯の位置を少しずらす。 それにネットの特売で買ったリモコンつきの大型のシーリングライトだが、ブレーカを落とした後や停電などした後復帰する時に自動的に点灯してしまう。 壁のスイッチと併用すればその欠点は補えるから、いちがいに欠陥商品とは言えないが、このままでは長期的な留守中停電があったりすると、誰もいない家の中でそこの電灯だけが付きっ放しになってしまう。 このタイプのシーリング灯は座敷と二階のリビングの二箇所に取り付けた。 仕方ないので二階の目立たないところにスイッチを一個取り付け、長期に留守などする場合はそこのスイッチを切っておけば良いように配線をやり直した。 その他外部の柱などに防腐塗料を塗る。 キッチンのカウンターに柿渋の二度目を塗る。