大チョンボ

 外部の仕事をひとまず切り上げて、今日から家の内部の仕事に掛かる。
 二階の北側の四畳半の二間の床が、恥ずかしながら鴬張り状態だったのである。 ここは日を追ってだんだんひどくなってくるので気になっていたが、買主に指摘されて直しときますよ、と即返事をした。 たんにきしんで音がするだけではなく、床が歩くと少したわんだりしていたのである。


 一番端のフローリング板に丸ノコで切り目を入れて、これを一枚犠牲にして後は順々に床板を外していく。 床板は斜めに隠しビス留めしてあるので、材に傷もつけずビスを抜くのは簡単なのが有難い。
 大工仕事といえば昔は金槌で釘をガンガン打ち込むのが当たり前であったが、オフはほとんど釘を使わず、すべてをインパクトドライバーでビス留めすることにしている。 最近ではそれよりも、より労力が楽で、さらに仕事を早いのでエアーガンを使って空気圧で釘やホッチキスを打ち込んで留めたりするようになってきている。 だが、オフはこれらの道具は使わないことにしている。 後日その部分を手直したり、取り替えたりしようと思っても、どうしようもなくて全体を壊すしか手がないからだ。 家を補修することなどハナから考えていない今のハウスメーカーの家などは、ほとんど仕事が簡単で早いエアーガンを使って建てている。 家は直しながら何時までも住むのではなく、悪くなれば買い換えて下さい、という考えから来ているのである。


 二階のフローリングの捨て張りに使ったのがこれまで一階の和室で使われていた荒板である。 一階の和室の六畳四部屋分の荒板の内約半分は釘を抜くとき割れたりして使えなくなり捨てたが、残りはまだまだ使えそうであったのでここへ再利用した訳である。  だが昔の製材だから板の厚さが微妙に一定していなかった。 それが原因だろうと考えていたのだ。
 だが、もちろんそれもあっただろうが、捨て張り板をまくってみて根太の配列の向きが間違っていたことが事の原因だったことが分かった。 これは明らかにオフの大チョンボなのである。


 ここの家は二階の床板が同時に一階の天井板となっている構造であって、いわゆる大引き天井などと言われている古い二階建ての構造である。 
 二階の床といっても、実際には畳の下の板のことであるが、床兼天井の厚板は一寸までないが、八分ほどの厚さがあるので、これは垂木のようなものと見なしてよいだろう、と考えたのが間違いのモトだったのだ。
 当たり前だが大引きに直角になるように垂木を配し、余分に何箇所もビス留めして、買ってきた新しい四分の捨て張り板を張ると、もうこの状態で床はきしみもたわみもなくなった。
 失敗が良い経験となった。


 今日の仕事


 二階のフローリングをまくり、捨て張り板もはがし、根太の向きを変えて留め、新しい捨て張り板を張って行く。