北区の家

 田舎から帰ったあと翌日神戸の嫁さんのところへ行った。 新しく開札された神戸地裁の競売の中に、神戸市北区の気になる物件が出ていて、それを見ておきたかった。
 神戸市は南は海でほぼ全体が港、北は六甲山の間に挟まれた都市であるが、その六甲山の北側の低い丘陵地が神戸市北区で電車や道路のトンネルが掘られていて、神戸の繁華街とはかなり近ところに今はベットタウンの住宅街が開けている。


 その北区の古くからある旧道沿いに箕谷という農村地帯があり、そこに一軒の競売物件が出ていたのである。
 行ってみると幹線道路から少し入った川と道に挟まれたところにその家があった。 その敷地に勝手に入りその家を見たなりうなってしまった。 柱に限らず根太や外壁に使ってある下見板などもすべて節一つない桧材が使われているのだ。 家の作りもやや古い作りながら何処かモダンな感じがしている。 とにかくこれまでいろいろ見て来た家の中では、飛び抜けて良い材を使ってある家である。
 だが、その家から受ける印象は暗い・・・二階部分が火事で焼けていて、応急にトタン屋根で補修されいるのだが・・・とにかく薄汚れてしまって見捨てられた感じがする。 細長い敷地の奥に舗装された土地があるが・・・入り口がない、と言うより横に私道があるが、どうやらそこは他人の地面らしく鎖が張られて、使用を禁じる、となっている。 そんなわけでその家には裏に車を何台分の広い土地がありながら、現在は車一台停めるスペースすらないのだ。
 本来のロケーションは部落の外れにあり好条件な土地なのだが、道を挟んで向かい側に比較的新しい老人ホームがあり、そこの土地が少し高く、家全体を見下ろされている感じがするのもどこか印象を悪くしている。 
  ここなら嫁さんの家から車で30分と近いので願ってもない物件かと思ったが、詳しく見ていくうちに気持ちが後ろ向きになってしまった。 入札まで少し日があるからもう少し考えてみるが・・・これなら倍ほど遠いが加西市の家二軒のほうがまだしも良いかなぁと思える。