柳美里「黒」

 神戸で過ごしている間に、柳美里の最新作 「黒」 を読んだ。
 単行本だがわりと読みやすく一、二時間もあればすぐ読めてしまう作品だが、中身は濃い。
 

 今日は時間がないので、書評を出版元である芙蓉社の編集部の出したものを以下に載せておく。


 http://www.sankei.co.jp/books/shohyo/070825/sho070825000.htm


 ≪『黒』は、柳さんの伴侶(はんりょ)であった故東の視点から、やがて作家となる少女「ユウ」と出会い、愛憎に苦しむまでの姿をつづった「黒」、 がんに侵され、東自身の闘病を語る「白」、 そしてついに自らは魂となり、自身の葬祭を眺め、なおも母親となった「ユウ」の姿を追い続ける「緑」で構成されています。  小説でなければ描けなかった男と女の根底の「愛」のすさまじさ、哀しさが凝縮されています≫


 これはあくまで小説つまりフィクションであるから、そこに書かれていることがでこまで彼女たちがともに過ごして実際の話とダブるのか判断は付きかねることでがあるが・・・その中で柳美里のこれまでの小説は、彼女おもに文章を書き、彼女の伴侶だった東由多加が全体の構成を担当していたことがコクっている。  まさに赤裸々という言葉がふさわしい内容であるが、先に出版されている彼女の「命」などと併読すればこの小説の面白さすごさが際立つ。