アリス・マンロー作 『イラクサ』

 予報では今日は雨となっていたが、曇り空で今にも降りそうな天気だったが結局雨は降らなかった。 少し蒸し暑い。
 今日も和室で寝ころがって終日本を読んだり、PCを覗いたりぐらいしかしなかった一日で終わった。 サービスでするこの家の手直し仕事があるのだが、今月は完全に休養することに決めている。


 買主から午後電話が入り、共済の住宅ローンが最終決済されてお金が下りるのは予想より二週間ほど先の10月半ばになると言うことである。 10月の競売の開札がその頃なので、どちらかと言えば当方も遅れることに異存はない。
 それに裏の家との間の排水路の改修の見積もりが60万円と出たと報告があり、その半分ぐらいを見てもらえないかという話があったが、それは出来ないと断りを入れる。
 排水路の改修は現在のこちら側の鉄板の壁面を新たにコンクリートで打ち直すと言うことであるが、それをしてもあの排水路の流れが悪いことの根本的な解決にはならないと考えるからである。 その理由は二つあり、一つは排水路の距離が長く、勾配を取れないことが流れを悪くしている。 
 二つ目は排水路の放出口が流れの強い水路の下側にあり、水嵩が増したときにスムーズに放出できないことにあるからである。 そんな中で排水路を少し広げても、一時的に水を少し多くプール出来るだけであって激しい雨の時はその程度では対応できないと思うからである。
 確かに昨年までは少し激しい雨が降るとあたり一面に水がついていただろうが、オフが昨年末、用水に溜まっていたヘドロを上げて掃除してからは、水は何とか流れていてオーバーフローするようなことはなかった。 まあ買主はそのへんの状況を知らないだろうし、この先そのような状況が出てきたときは相談に応じると答えておいた。 


 新潮社のすぐれた最近の外国文学を紹介するクレスト文庫というのがあり、その中の『イラクサ』 アリス・マンロー著を読み終わった。
 作者はカナダの70台の女流短編作家で人気、実力とも現代のカナダを代表する作家であるということだ。
 旅仕事の父親に連れられて来て、しばらく一緒に過ごした少年と田舎育ちの少女、彼らが30年後に偶然再会するのだが、二人が背負っているそれおれの生きることの輝きと苦しさのマダラ模様・・・を描いたいるのが表題作。
 また、たった一度だけの息をのむような不倫の経験を心の奥に抱え続けて生きた女性。 痴呆症で何も分からなくなった妻が、施設の男性患者にあたかも彼が夫のように寄り添うのを目の当たりにして、戸惑い、疑い、嫉妬する夫の心の綾などなど・・・長い年月でものごとの本質を捉える視線で描かれているこれらの9編の作品はどれをとっても完璧な出来栄えである。
 出版される作品は常にカナダをはじめアメリカ、イギリスなどで常にベストセラーの上位を長く占めているという。 日本のベストセラーの文学と言えば少し前の『世界の中心で愛を叫ぶ』などというバカバカしい作品しかが思い浮かばないが、それにしてもエライ違いである。