カイカク

 昨夜は涼しくてよく眠れた。 須磨のマンションでは夜中ずっとクーラーを掛けていないと眠れなかったが、さすがここは田舎の特典で夏とはいえ夜は涼しい。 


 昨日リンチ監督の映画の中で女主人公が息を引き取る場面について、現代の生と死の位相を鋭くえぐり出している、などと書いた。 もう少し具体的に書くとこうなる。 主人公の女性が血を流しながら夜の街のシャッター前に倒れこんだ。 そのシャッター前には一人のホームレス女性が寝ていたのだが、これが何ともまあ醜い顔の黒人なのだが、ほぼ何も持たない彼女のできることは息を引き取る主人公の目の前で、ライターを点して見せることぐらいである。 倒れこんだ女性の反対側には、いかつい黒人男性に抱きしめられたまま寝ている日本人と思われる若い娘がいる。 黒人女性が言ったある地名をキッカケに、その娘はその場の緊迫した出来事とは何の関係もないことを独り言のように話し始める。 娘は今、目の前に起きていることが分からないわけではないのは明かなのだが、ただ、ただ現実逃避するように無意味とも思えることを、しゃべることをやめない。
 そんな中主人公の女性は息を引き取る。 何とも言いようのない場面である。
 昔見たニューシネマ系のアメリカ映画の「ブルックリン最終出口」という映画のフィナーレを思い出した。 だが、まだそれでもこちらの方はやりきれない中でかすかな救いのようなものを感じたような気がするのだが・・・


 一昨日の夜、今回の参議院選挙の結果が出た。 予想されていたことだが、それにしても地方の一人区での自民党の票の伸びの悪さを見ていると、もうこの党の再生はないのでは・・・とフト思った。 かって自民党の先生方は地方に公共事業や仕事を引っ張ってくる頼もしい人として胸を張って存在を誇ったいたのだが・・・ただ、ただ行動力だけを宣伝する若い男女の候補に比べ、たすきを掛けたダークスーツ姿のかっての先生方がとにかく草臥れて見えた選挙だった。 
 結局、競争原理を取り入れる<カイカク>では、弱者である地方の負け組入りは最初から決まっているようなものである。 だが、中央、つまり首都圏の一人勝ちが続くのだが、その首都圏でも自民党の再生はないという事は今や動かしようもない事実である。
 

 そして選挙後早々と安部総理の続行が決まったと発表された。 新しく、よし、俺がやろう!と言う人もなく、また再生のプランやビジョンもない。 ただ、ただ自分のし主張を繰り返している首相に責任を被せて、自分だけが火の粉かぶらないように首を縮めて巣篭もりしているようである。 党としての再生がないなら、この際思い切って皆で決議して自民党を解散して、全員出直しをした方がよほどマシなような気もしてくる。


 小泉前首相はかって、自民党をぶっ壊す、と言っていたが、彼が信じる<カイカク>を阿部首相が続行することで、自民党はぶっ壊れる、という笑えないような雲行きに本当になってきたぞ。