静かな家庭

 朝のうち神戸を出て、途中ホームセンターに寄り塗料とスイッチを買って帰る。
 八千代に帰ると左官屋が来ていて、和室、その他の部屋の壁にヒビが入っているような箇所の補修をしてくれていた。 とくに以前がジュラク塗りの土壁などの場合、下地の補修がキチンとされていないところへ新たな壁を上塗りをすると、下地が水を吸って割れたり、めくれたりしてくるのだ。
 その場合の補修は一度全部の面に渡って下地まで落として、下地塗りをして乾かしてからもう一度上塗りをするしかない。 
 また、下地のプラスターボードの繫ぎ目あたりは、塗り壁が乾く過程でお互いに両側に引き合う力が加わるので、ヒビが入りやすい。 それを防ぐ意味でもボードのつなぎ目にメッシュのナイロンテープなどを貼って養生しておくのだが・・・必ずヒビガ入るとは限らないので、ついついそれをやらないで済ましてしまうのだろう。


 一昨日ちょっとしたお互いの誤解から兄が大きな声を出すという家庭内のトラブル事があって、嫁さんは少し落ち込んでいた。
 どんな家庭でも、四六時中お互いに顔をつき合わせて暮らしているのだから問題が起こらないというのが不思議なくらいで、どのような幸せそうな家庭でも中に入ってみると大小のさまざまな問題を抱えているものである。 たいがいの場合それを家庭内だけで処理しようとする家族間の暗黙の同意が成立しているので、なかなか外から見てそれらの問題は見えにくいものである。 だが時には、そのようなお互いの暗黙の同意を突き破って問題が外部へ噴出してしまうことがある。 そんな時に人々は、あんなに仲の良さそうな家庭だったのに・・・と一様に驚嘆の反応をするものである。
 一昨日あった問題も、じつに些細なことなのだが、それを放置しておくといつか大きな問題に発展しないとも限らない。 あえて謝る必要もない立場だった嫁さんが昨日の朝、さっそく兄に謝ったと言う。 さすがに兄もその時には反省していたのだろう、照れくさそうに笑いながら、もう良いんだ、という意思表示をしてこの件はどうやら収まったようだ。 
 嫁さんの家も、次兄の生誕時のトラブルが数十年を経て母親から父親への怒りとなって毎日、毎夜噴出して、お互いに傷つけあわないでは収拾つきようがない一歩手前まで行ったこともあったようだ。 現在の嫁さんの家庭を見る限り、そのような空恐ろしいトラブルの片鱗すらも見つけ出せない静かな家庭である。 そのような修羅場を潜り抜けて、今の嫁さんの家庭があるのだし、もの静かな家族もいるわけだ。


 今日の仕事

 キッチンのカウンターの下部に塗装をして羽目板を取り付けていき、一枚板のカウンターの裏に枠を取り付け、台座に乗せて固定する。
 納戸や離れのリビングに照明器具を取り付ける。