彼岸

 明日は彼岸の中日だ。 暑さ寒さも彼岸まで、と言うが寒かった三月もこれからは少しずつ暖かさが増してくるだろう。 来週あたりからは桜の開花の便りがぽちぽち届きそうである。 オフはまわりが田んぼの土地で育ったので、春を強く感じるのは桜よりも菜の花や蓮華の花、それに上空でさえずるヒバリの鳴き声である。 薄闇が広がった春の夕方に菜の花の黄色い色を見ていると、気持ちがトロンとしてきてそのまま異世界へ行ってしまうような不思議な気持ちになったことが子供の頃時々あった。 そんな感じのまま死んで、スーッとあの世へいけたらなぁと思うことがある。


 春眠暁を覚えず、と言うが、最近は朝の明けるのが早くなった分目覚めが早くなってきている。 その分眠る時刻が遅くなっている訳ではないが、仕事が終わった後や昼飯を食べた後、ソファーに寝ころがって少しそのまま眠ことが多くなった。 このソファーは以前の仕事現場である綾部の家に前の持ち主が残していったもので、模造レザー張りの安物だが、結構重宝している。 オフは枕は高い方を好むので、この肘掛の上に頭を乗せると寝るのにちょうど良い高さになる。 足を伸ばせばはみ出る程度の大きさでしかたなく足を肘掛の上に乗せて、お腹の上に座布団を乗せてそれを抱いて眠っている。 せいぜい三十分前後の眠りだが、それだけでも結構疲れがが取れるものである。


 今日も仕事が終わって夕食の準備をする前に少し眠っていたが、玄関で、こんばんわ、の声がしたので起きると左官屋が来ていた。
 どれだけ仕事が進んだか見に来たのだと言う。 上がって今やっているサニタリー部分を見て、ガイヨウしてはるなぁ・・・と感想をもらしていた。
 この播州弁の、ガイヨウスル、というのは多分、大概良くしている、という語が縮まって出来た言い方ではないかと思う。 当地の人は、たいがい何々する、という言い方をして、たいがい、という語を意外とよく使うからだが・・・。
 左官屋はもちろん仕事が何処まで出来ているかを見て、次に自分がいつ仕事に入ればよいかを考えているのだが、この家が高く売れたらその分ボーナスを出す、と言ってあるので気になるらしく、こうしてしょっちゅう見に来る。 また、ここの仕事がどのように出来ていくのか見に来るのが楽しみなんだ、とも言ってくれる。 彼の仕事で残っているのはLDKの壁塗りだが、この部分は鏝を使って模様を付ける壁にしようかと言って、先日その見本を塗って見せてくれた。 悪くないのでオフもすぐにOKを出した。

 
 今日の仕事


 サニタリー部分の仕切りのトイレ側の針葉樹コンパネの残りを張って全体に塗装をする。 反対側のダイニング側に化粧野地板を張る。 この板に塗料はレッドオークという色を水で薄めながら使ってみたがやはり少し赤みが強かった気がする。 両外側の壁にプラスターボードを張る。 今日一日サニタリー部分の仕事をやったが、まだ終わらない。 明日は天井を張って、玄関側の壁の下部に腰板を取り付ける。 そこまでやってようやく終わりとなる。