オフの天井

 ようやく仕事に掛かり出したダイニングの天井は下から見た目には、この家の二階のリビングと同じような天井になるのだが、仕事の仕方というか、板の張り方がまったく違う。
 二階は天井裏に余裕があったので、天井裏に柱の幅の半割りの材で大きな日の字形の枠を組みその枠の上に天井板を乗せて上からビス止めしている。 
 今回のダイニングは天井裏に余裕のスペースがないので、日の字形に組んだ下地の垂木に下から天井板をビス止めして、さらに下部から柱の幅で一寸の高さの長い材を当てるやり方で、これは奥の四畳半で使った工法である。 どちらのやり方にしろ、出来上がりを下から見れば同じような天井に見える。 大工さん達はこのような天井の張り方はあまりやっていないと思う。 というのはこのような天井は実際に見たことがないし、本や雑誌に載っているのも見かけないからである。 これはオフ独自スタイルの天井だと思っている。 今後もオフの天井仕事は、ほとんどこのスタイルでいくつもりである。 ただし天井を普通より高くして梁を見せたいので、下屋部分は桁から屋根垂木に沿って天井板を張っていき、最初のモヤから向うのモヤまで水平に張るという、いわゆる舟底天井になることが実際には多くなると思う。 その場合は下屋部分は斜めの天井に柱の幅の半割り材を沿わせて上げいくということは変りない。 面倒なのは梁から屋根のモヤまで柄が立っているが、その柄はたいてい四角でないので、柄と板との取り合いである。 またその部分に下から長い材の宛てるというのも、同じ意味でやや面倒な仕事となる。


 ダイニングの低い天井下に大工さんが造り付けただろうと思われる天袋の棚があった。 これがメチャ頑丈に作ってある上に、隠し釘が何本も打ってガチガチに止めてあり、取り外すのに四苦八苦した。
 この家を見ても分かるが、戦後の大工さんの仕事は工場生産されたベニヤやボードで古い壁や天井や床を隠すように覆うのが一つの仕事であった。 下地にエゾ松などのペラペラの胴ブチを使い、それを釘打ちして下地を作ってボードなので部屋を覆いつくすという仕事である。 戦後まだ材木が高かった頃、既存の家のリフォームとはそのような仕事が多かったと思われる。 そのような言って見ればバカバカしい仕事ばかりしていたから、この天袋を造り付けるという仕事に大工さんはやたら力がはいったのではないかと思われる。 使ってあった材は当時安かったラワン材であるが、このラワン材も今はラオス松などと言って品薄になったのか、フローリング材などで見かけるが驚くほど高くなっている。  


 今日の仕事


 昨日材木屋が届けてくれた四分厚の化粧野地板に塗装をする。 この合いジャクリをしてある杉板は天井板として使うつもりである。
 値段がやや安いので中には抜け節しているのやら、小口に割れが入っているのが半分ぐらいある。 それらは悪いところははねて使うつもりである。
 前に奥の四畳半の部屋の天井をした時の残りの板で、屋根垂木に沿って上がる部分の一部に天井板を張ってみる。 今回は屋根垂木に直に天井板を当てて張るのではなくて、三尺ごとに材を当てておいて少し浮かして張ることにした。 というのもこうすると電気の配線の処理が楽だからである。
 午後から残っていたダイニングの天井を壊す。 ここの部分の屋根は片側だけ入母屋式の屋根で、今回はその入母屋部分の天井を壊したことになる。 最後に天井板に二度目の塗装をして今日の仕事を終える。