会社

 今日は朝からよい天気で日が差していた。 昼過ぎには気温が16度まで上がりお彼岸の頃のような陽気だった。
 最近は夕方ごろ、だいたい4時半頃になると急激に疲れが出てくる。 その時間を過ぎればまた疲れは少し薄れるのだが・・・仕事が終わって食事の用意するまでの間しばらくソファーで眠るとその後身体が少し軽くなる。 嫁さんにそのことを言うと、還暦なのよ、との返事だった。 たしかにそうなのだが・・・はたしてこの後何年このような仕事を続けれるのだろうか・・・最低でも五年ぐらいは続けてみたいと考えている。 お昼休みには一時間ほど休憩を取るが、食事の用意もあるので正味休めるのは30分もない。 10時や3時の途中の休憩は取らない。 というのは大抵その時間帯が一番仕事に乗っている時だからだ。


 今日左官屋が、新聞のチラシに古民家を再生した家が写真入りで出ていましたよ、と言う。 お昼の時間にそのチラシを持参してもらって見ると、大手の住友不動産が出しているリフォームの宣伝で、現地見学会の案内である。 家のビフォアー、アフターが写真入で載せてあるのだが、参考例の古民家再生物件も隅っこに小さく、これはご覧頂く物件とは異なります、などとただし書きしてある。 またそこの会社がリフォームした件数の右肩上がりのグラフが載せてあるが、それはその会社がここ十年間にリフォームした件数を毎年加算したグラフである。 そりゃ増えるのは当たり前田のクラッカーだろうよ。


 仕事しながら左官屋はこの家なら、二千万で売りに出してもすぐにも売れそうだがなぁ、と言う。
 どれだけ高く売っても、少しも儲からないんだよ、と言うとキョトンとしている。
 バブルの頃に出来た法律で、5年以内の短期売買の場合、不動産の売買の利益は100パーセント課税されて儲けが出せないようになったんだよ。 だからこのようにリフォームした場合、かかった材料費と手間賃分だけは経費として認めてくれるが、高く売って利益を出せば出しただけ全部税金で持っていかれてしまうんだ・・・と説明する。 
 そうか・・・昔、左官屋の棟梁をして十人ほどの職人を使って大きなお寺の壁塗りをしたんだが、その後で税務署から二人来て、何だかんだと言って100万円追加で税金を取られたことがあって、それ以来馬鹿らしくて一人でしか仕事しないことにしたんだ・・・と左官屋も言う。


 昔、借金をして事業をしていてつくづく思ったこと・・・頑張って利益を出して儲かった儲かったと喜んでいても、まずその利益から40パーセントあまりの法人税を国が持っていく。 引かれた残りの分から借金の利子分を銀行が抜いていく。 さらに少なくなったその残りでようやく借金の返済に充てる訳だ、大まかに言えば事業とはこのような仕組みになのである。 少々の利益を出してもそれがなかなか借金の返済にまわらない仕組みなのである。


 たとえば一億円借金して、会社を経営していて一千万円の利益を出したろする。 まず税金として半分の五百万円(国は法人税、県は事業税、市町村は固定資産税などの合計で)は持っていかれる。 銀行から5パーセントの利息で借りていると5百万円利子に取られて返済金が出ない。 そこで頑張ってもう50パーセント利益を上増しすると、750万円は税金、利子が500万円で250万円を借金の返済にまわせることになるが、毎年250万円返済していても一億円をなしこむには何年掛かるとと思う?・・・40年だよ、そうこうしている内に設備が古くなり、また借金をして設備投資する・・・その繰り返しなんだ結局事業とは・・・賞味期限の切れた商品を悪いと知りながら使うしかないのだ。 それで飯を食っている人がこの日本の大部分の人だろう。 不二家の肩を持つわけではないが、会社から貰ってくるサラリーで飯を食っている人で不二家をあしざまに言える人はどれだけいるだろう・・・今の日本に・・・



 一番良いのは、会社をやって軌道に乗せて利益をだしている内にその会社を誰かに売り払うことだろう。 もちろんその売買の利益に対しても税金は掛かって来るのだが・・・。 だが昔、これこそが一番儲かる方法だなぁ、と思ったことがある。 それを現在おおぴらにやっているのはIT関連のベンチャー企業群なのだろうと思う。
 

 今日の仕事


 奥の部屋にサッシ窓を入れた外部の窓下に腰板を当てて化粧する。 先日ホームセンターで買ってきた桧の腰板だが、これが節ありなのだが、ものすごい数の節がある。 それに抜け節のところはたしかに埋木してがるが、外壁に使って大丈夫だろうか? 買うときは束ねた上に梱包してあるので、開くまではどのような材なのか分からない。 たしかに桧にしては安かったのだが・・・腰板に節ありは、これから買わないようにしよう。
 サッシの縁も含めて上から化粧柱の材を当てておく。 その後二階の床と玄関の内側に二度目の塗装をする。 玄関の柱や梁には丹念にベンガラが塗ってあるので、水分をはじいてなかなか着色してくれない。