迷い

 先日手伝ってもらった大工さんの紹介の設備屋が見積もりの下見に来る。 訊けば高砂市から来たという。 高砂といえばここの南の加古川市姫路市の間の海辺の町であるが、昔の結婚式で謡われた♪高砂や〜この裏風に帆を上げて〜のあの高砂である。 
 若いモン二人だけでやっている会社だという。 使われている身ではないので、早く終わらせて次の現場へ行くためにこのような連中は身を入れてよく働くし、だいたいが仕事も早いのである。 


 先日入札した競売物件のことが気になる。 入札してからこの物件に愛着みたいなものを感じだした。 まず所在地が小野市であるので神戸から近いということ。 現在の八千代の半分とまでは行かないが、どのようなコースを取ろうと一時間掛かることはないだろう。
 それにこの物件は木造部分と鉄筋コンクリート部分に分かれるが、その内木造部分はさらに棟二つに分かれている。 その内の北側の棟を取り壊せば外部の光の入らないような暗い部屋はなくなり、かなり使いやすくよい感じの家になるような気がしてきた。 広いベランダがある鉄筋コンクリートの棟の二階部分は明るく、ここをダイニングキッチンとリビングに階段を挟んで分ける。 そのかわり一階を寝室などにするという逆転のアイディアも出てきた。 そうすると間違いなく落札するには入札額は少し安値だったかなぁ・・・と思える。 もう一度入札をやり直すということは出来るのだろうか? 少なくともこの程度の家なら売却基準額の倍なら間違いなく落ちるだろうと思えるが、そこまで出さなくても良いだろう。 たとえ倍の値を付けたとしても固定資産税評価額の半分ほどにしかならないのである。 迷うところである。


 だが家の内部に関しては現在の住人の許可なく見ることは出来ない。 裁判所の資料には内部を写した写真があるが、天井や壁の状態など微妙なところは分からないし、家が傾いていたとしても少しぐらいなら分からない。 
 このような物件をねらって入札するのはおもに古民家など農家物件を扱っている不動産屋だろうと思われる。 今の八千代の家がそうだったように安い値で落として、障子や襖を張替えたり畳を表替えしたりクロスやベニヤを新しくするようなおざなりなリフォームで売り出すのだろう。 それにしても不動産の短期売買の場合の利益は課税譲渡所得とみなされるはずである。 そこはリフォーム費を嵩上げするようななにか不思議なマジックがあるのだろうと思われる。


 今日の仕事


 桟木を大きさに切り根太として並べて留めていく。 その上に階下の和室から出た四分の荒板を捨て張りする。
 今日はそこまでで、フローリング張りは明日になる。 今回四畳半が二部屋と後二畳ほどのスペースを床張りすることになる。 メインの八畳間は床暖房をするのでこちらは後日の仕事となる。