京壁

 しばらく他の現場へまわっていた左官屋が今日からまた来た。 二階の壁塗りはおおよそ終わっているので、今日から和室の壁塗りに入っている。 二階はほとんど漆喰を塗ったので全体が真っ白になりとても明るい仕上がりになった。 一階の田の字型の四つの和室はジュラク壁系統の京壁という壁土を塗ってもらっている。 色はやや黄色がかった土色とでも言えばよいのだろうか、何処にでもありそうでそれでいて深く味わいがある、上品で落ち着いた感じの色合いである。 奥行き感を出すために床の間だけはやや濃い目の色を選んだ。
 今オフが仕事している奥の部屋などは二階と同じ白漆喰で良いだろうと思っている。
 問題はLDKであるが、これから部屋を考えながら造り、その過程で色を決めようと思っている。 素材は珪藻土か漆喰で・・・珪藻土なら淡いベージュ、漆喰ならすべすべの鏝押さえよりも、少し鏝で文様を入れてもらうのも良いかなぁ・・・と今のところぼんやり考えいる。

 左官屋はここの現場へ来ると新たらしさを感じて、うれしくなるなぁと言う。 それはこれまで建築が畳敷きの和室は真壁で塗り壁、洋間は大壁でクロス貼りか建材張りと定型的に区分けされていたが、オフの仕事はフローリングを張った洋間を真壁にして塗り壁で仕上げているからだろうと思う。
 ヨーロッパの古い農家などでは柱を表に出す真壁で漆喰塗りの家があるし、この組み合わせにまったく違和感を感じない。

 左官屋のの息子はオフの長男と同じ年頃だが、最初は左官屋を継いで職人をいしていたのだが今は会社組織の屋根屋に行っているという。
 二人では壁塗り仕事が少なくてやっていけなかったと言うの本当のところだ、と先に来た大工さんが言っていた。
 和室だけは壁塗りという現在の定型化した流れが変われば左官の仕事も増えると思うのだが・・・
 
 
 今日の仕事


 奥の部屋だが、床から六尺の位置に横に化粧ヌキを入れることにした。 ここの壁面はいわゆる真壁で柱が半間毎に表に出てきている。 四畳半でさほど広くないのに天井までの高さが八尺で、少し縦長に見える壁面を一本の横線を入れて区切ることで安定感を持たすためである。 こうすると柱間三尺の壁面が床から六尺のところに仕切りが入り、いわゆるサブロクの仕切られた壁面が出来る。 この大きさというのは畳一枚の大きさであり、人は、と言うか日本人はこの大きさに慣れ親しんでいて、何となく安心感を持つのである。 そのヌキを大きさに切り取り付ける前に塗装しておく。

 たいして広くない四畳半だが、天井面のフィックス窓の造作や、押入れの入れ替えなどがあってかなり手間を食っている。 もう始めてから十日間あまり経っていると思うが、まだ終わらない。 最後にもう一つ厄介なオマケ仕事が付く。 部屋から見て南側の壁面の向こう側は風呂場である。 もともとこの部屋は風呂のカマドの焚き口がある土間の部屋であった。 風呂場側の壁面は天井までモルタルが塗られているし、こちら側から風呂場への温水ボイラーのパイプが貫通して行っているし、太陽熱で暖められたお湯と水の二本のパイプも斜めに壁面を横切って風呂場へ貫通して行っている。  それに風呂場でボイラーを入り切りするための線も出て来ている。 これらがみな壁面の前に剥き出しなっているのである。 これでは部屋としていかにも見てくれが悪いので、これらを隠さねばならない。 そこでこの壁面の下部三分の一ほど腰壁を付けるという仕事をする。 それもパイプの関係で壁から9センチほども膨らんで腰壁になる。 それらの材を今日のうちに造作をして塗装しておいた。 明日組んで取り付けとなるのだが・・・先日姫路のホームセンターで買ってきた腰板が15枚あるのだが、あとまだ3枚ほど足らないのである。 この腰壁は無塗装品かと思って買ってきたが、ウレタンニスのクリアー塗装がしてあった。 このムラのない均一な塗装をきれいだなぁと思うか、思わないかは個人の感じ方の問題だが、オフは嫌いなのである、折角の無垢材をいかにも均一な工業的な感じにしてしまうのは・・・