姫路へ行く

 昨日嫁さんが明石市の成人病センターへ偏頭痛の薬を貰いにいくというので、急遽オフもその病院へ車で行った。
 嫁さんはここ数年更年期による身体症状で偏頭痛にに悩まされている。 そこは長年看護婦として勤めていた病院で、その通いなれた病院へ昨日彼女は電車で出かけた。 お昼前オフが車で着いて、嫁さんを乗せて二人で加古川バイパスを通って姫路に向かった。
 オフが姫路の神戸地裁支部競売物件の資料のコピーを取りに行くのに嫁さんも付き合ったかたちである。 彼女とは知り合って三年、二人一緒に何処かへ出かけることは皆無で、せいぜい三宮へ映画を見に行く時とか、時々オフが古民家の物件を見に行く時に二人で外へ出かける程度である。
 嫁さんがマンションの一階下の両親の、母親は半分ボケているし父親はオシッコの袋を腰にぶら下げている、の介護をしているためである。 
 家庭での介護というのは言ってみれば切りのない仕事で、勤めに出ているよりも何倍か大変な仕事である。 四年前にいよいよ悪くなってきた両親の介護のため彼女は勤めを辞めて家庭に入った。 看護士の資格があるので、家庭内で母親への点滴や、父親のバルーンの洗浄などが医者の指示のもとで出来るのである。

 競売物件の資料のコピーといっても、今回が初めての経験なのでいろいろ戸惑うことばかりであった。
 裁判所での用件を終わらせ、その後ネットで場所を調べておいた骨董屋へ向かう。 
 姫路の飾磨港の近くにある一軒目の骨董屋というか古道具屋へなんとか捜し捜ししながら行った。 少し分かりにくい奥まったところにその店はあったが、途中に店の名前が書いた案内の看板が二箇所ほど出ていたので何とかその店は探し当てれた。 分かったのはよいが、なんとそこの店のシャッターは閉まっていた。 というかシャッターには、この店は何時でもシャッターを閉めている店である、と自慢げにペンキで大きく書いてあるのである。 まったく、何だ!このヤロウ!・・・な、ふざけた店もあるものであるが・・・もっとも怒るにもそこの店の名前が<プー太郎>という脱力するような名前ではあったので・・・ 車の中で嫁さんと二人で大笑いしてから、調べておいたもう一軒の店<時代屋>へ向かう。 
 しかし、たどり着いた<時代屋>はどちらかといえばリサイクルの店で建具類などは置いてなかった。
 両方とも古建具で検索して探し出した店だったのに・・・


 結局、昨夜は神戸で泊まり、競売物件の資料を点検していて、この物件はいろいろ問題があることが分かる。
 まず占有者が居ること。 その人は現在のこの家の所有者ではなくて、以前、昭和の終わりごろ、ここの家は一度西脇市に差し押さえされているのだが、その時の所有者であった人である。 つまり元々の持ち主の元で一度倒産して、その時にこの家の所有権は奥さんの実家へ移っている。 つまり倒産した時、奥さんの実家が金を出して援助している。 元々の所有者は、所有権を譲りその後も貸借権もなく占有者として住み続けたわけである。 また東隣に工場があり、その隣の工場との境界があいまいであって、建物が続いていてこちらが使っている建物が隣の地面にはみ出していたり、隣の風呂場がこちらの敷地に食い込んだりしている。

 それに今日午後から現地に行って家の周りを巡り歩いていろいろ分かった。
 隣の建物というのは明らかにこの家所有の織物工場だっだろう建物で、その隣の倉庫の新しい所有者、じつは娘婿だが、倉庫は欲しくて買い取ったが、古びた家は要らないと考えたのではないだろうかと考えられのである。 
 そのお隣の人が物分りの良い人だったらよいが、そうでないと厄介なことになるだろうし、家の横で腰の曲がったかなりのおばあさんがゴミを焼いていた。 その侘びしげな有様を見るつけて・・・売ります、買いますではないだけに・・・どこか嫌な感じが残った。
 それに裏にある長屋のような細長い二階建ての付属の建物は解体するのが良いと思うが、裏の道は重機が入るには道幅が2メートルほどしかなくて、かなり狭いのも気にいらない。 ただ外壁面を漆喰で固めた母屋にあたる建物と土蔵は古く汚れているが、かなり魅力的な建物である。 競売に出されているとはいえ、勝手に中に入って見ることは出来ない。 裁判所が撮った写真があるが、家の内部の柱の傾きや床の状態を見ることは出来ない。 売却基準価格が安いだけに迷うところである。