夜明けのお囃子

 朝の6時ごろだったと思う。 遠くからテレツク、テレツクと太鼓と笛のお囃子がして、その音が段々近づいてきたと思うと足早に通り過ぎていった。
 目覚めたばかりの時間帯だったので異次元から聴こえてきたような不思議な感興を覚えた。 今朝も顔を出した向かいのオッサンに、夜明け方のお囃子、あれって何なん?と聞くと、ああ、あれかい、あれはお伊勢さんか出雲大社のお囃子のお知らせだよ、と答えが帰ってきた。 来年の豊作を祈るお札を配って(売って)歩いてのだが、先発が今日こちらの地区に伺いますよと朝早く触れて歩いているのだそうだ。 オフには夜明け方のお囃子を聞くのは初めての体験なので、とても不思議であり、新鮮なものがあった。 真夜中にあんなお囃子が遠くから聴こえて来ると、多分異次元に誘い込まれて行くようなドキドキするような感覚をおぼえるだろうなぁ・・・と思う。 芸事、芸能、お囃子などは、もともと寺社に付属するものとして続いていたのだろうという感が強くした。 今はテレビに登場したりして偉そうに振舞っているが、芸人などというものはもともは鴨川あたりにたむろしていた河原乞食のことであったのだ。
 

 音と言えば、裏の家が隣の倉庫で機織をしている。 その音が昼は聞こえないが、夜布団に入って眠る頃や朝目が醒めた頃に聞こえて来る。 昔はガチャガチャと縦糸の機械が上下に動いたり、樋が左右に飛んだりするうるさい音だったと思うが、今は音も静かになっているのだろう、どこかでボイラーが燃えているような低い重低音となって聞こえて来る。 朝は5時か6時ごろから、夜は11時か12時ごろまで機械を動かしているみたいだ。
 日中、糸や布を巻いた大きな鉄の糸車をユニックを取り付けたトラックや軽トラに積んで、何処かへ運んでいるのもよく見かける。


 今日の仕事


 敷居のうちの一本が五分(1・5センチ)ほど寸足らずになっていたので、材を大きさに切り柱との間に埋め込みをする。 長い雇いホゾを作り両端を柱と敷居に入れ、その隙間に上からコの字形に切った材をはめ込むとい経師屋のような仕事をした。
 二階の倉庫の両端も柱と壁の間に三尺×1寸5分ほどの隙間が五個所出来ていたので、材を切って埋め込んでおいた。
 左官屋が和室や玄関上の壁面を塗りたがっているので、丸桁や柱などの塗装を済ましておくつもりだが、それと同時に壁面に埋め込む配線の処理もしておかなくてはならない。 配線図の配置などを考えたり、差込口が甘くなっている既存のコンセントなどの取替えなどをする。 夕方、玄関先の放り出してあった前の大引きや根太が邪魔になるので、車庫に運んで積んでおく。 これらの材はオフの好きな栗材なので棄てるに忍びないのだ。 しかし、大きな釘が何本も打ち込まれているし、くねくね曲がっているのでおそらく使い道はないと思うのだが・・・