大引き伏せ

 夕方近く下を向いて仕事をしていたら、突然、オフ・・・という女の声がして、顔を上げてみると玄関に嫁さんが立っていた。
 今日来るなどと訊いていなかったので、本当に驚いた。 嫁さんは珈琲を入れてくれた後、遅れるとラッシュ時間にに重なるのですぐさま帰っていった。 
 本当は明日BS放送ビスコンティーの<熊座の淡き星影>を見るためにオフが神戸に行くつもりだったと言うのに・・・
 しかし、仕事も今日で大引き伏せという一つの区切りがついたので、これから神戸へ行くことにする。


 今日の仕事


 和室四部屋に大引きを伏せ、その下に1メートル間隔で柄を取り付けていく。 柄は前の大引きに使ってあった古い栗材を再利用した。
 仕事をしていると近所のお年寄りが玄関から覗いて、ここの座敷は昔葬式の時に大勢の人が入ったので、突然床がドンと下がったのだ、と教えてくれた。 なるほど、なるほど・・・ようやく真ん中の柱が何故沈み込んでいたのか、その理由が分かった。
 この後は大引きの上に根太を伏せて、板を張れば和室の改装は一応終わることになる。