大工さんが入る

 午後から 田の字型の和室の傾きを直してもらうために頼んでおいた大工さんが来る。
 やるだけのことはやってみるが、上手く持ち上がるかどうかやってみなければ分からない、それでもよいだろうかと訊かれる。
 やってみて駄目なら致し方がない、と答える。
 それではと二人で四部屋とも畳を全部まくり建具も全部外し荒板をはがす。 根太も大引きも栗材が使ってあった。 根太の隙間から床下の柱をゲンノウで叩いてみてこれはシロアリは入っていないなぁ、大工さんは言う。 ああ良かった、と思っていると、根太も大引きも全部外してしまいます、と言い出だす。 このまま柱が持ち上がって柱下にカイモノをしても、全体が持ち上がってしまうから大引きや根太も全部やり直しになる、と言う。
 なるほど言われてみればその通りである。 栗材はオフの大好きな材だからもったいないと思うが、この際それも致し方ないだろうと思う。
 再び二人で根太、大引きを外す。 栗材は中で釘が錆びついていると絶対に抜けない。 釘の頭が抜けてしまい途中で折るかないので、根太の下にバールを入れて材と共に外すのがベターなのであるが、そうすると端っこで材は割れたりする。 栗材はたぶん廃棄するすかないだろうことは分かっているのだが、ついつい、あ〜あ、と思ってしまう。
 全部外して田の字型の和室の真ん中に一本柱が立っているだけになった。 その柱が約3・6センチも下がっていると言う。 もちろん周辺部の柱も家全体の中心にある七寸角のケヤキの大黒柱より幾らかづつ下がっているのだが・・・先に二階へあがった大工さんは二階天井裏の梁と柱との間に一寸ほどのカイモノがしてあるのを見て頭をひねっていた。 彼の意見では最初から柱は下がっていたのではないかと言う。 そんなバカなことはないと思うが、多分建てた時点で家の重みで基礎石が下がって、急遽梁と柱の間が空いてカイモノをしたのではないかと思う。  しかし、四方がから集まっている太く重い梁を見るにつけて、これが持ち上がるだろうか?とついつい思ってしまう。
 さらに問題がある。 座敷側の二本の差し鴨居が半割り材を使ってあるのでジャッキが掛からないのである。 結局、三寸五分角の桧の大引きを四方から入れて、それにジャッキを掛けるということになる。 これまでの大引きは厚さ1寸五分でホゾ入れしてあったが、今度は柱に五分の奥行きで大入れにすることになる。 とりあえず二方向から大引きを入れたところで大工さんの今日の仕事は終わった。 話に聞いてきたがこの大工さんは仕事が早いのに感心する。

 
 今日の仕事


 昨日の続きで二階の倉庫の床張り仕事をする。 昨日切って並べた材を奥からビス止めしていく。 二本あるうちの一本の梁の高さが違うので下にカイモノをしながら水平を出しながら止めて行く。 途中までやったところで下の座敷の照明の配線が昔の碍子配線のままだことが気になる。 おそらくこの家を移築してたてた頃の配線だろうから少なくとも50年は経っている。 このまま床を張ってしまうと出入口がない天井裏になってしまうので、急遽VAコードで新しい配線に切り替えておくことにした。