方針転換

 今回の改装に関しては何事も自分でやるという方針を変えて、道具がない仕事や苦手なことなどは業者を入れてやることにした。
 まず、屋根瓦だが現状のものを新たに葺き替えをすると軽く三百万以上になるのは間違いない。 これを出来るだけ安く上げるため割れたものや欠けたものものは新しく取替えして、並びを調整し、剥がれた漆喰を塗り直す仕事を左官屋に頼んだ。 近畿一円の屋根瓦葺きは昔のままのやり方で瓦の下部に赤土を入れて固定する方法を取っているので、まだまだ漆喰が屋根にふんだんに使われているのが実情である。 その左官屋が安くして置きますと言うので、ついでに内外の壁を全部塗り替える仕事もその左官屋に任せることにした。 

 さらに風呂のボイラーが壊れていてお湯が出ないのでそれの取替えも配管屋に頼んだ。 
 屋根の上には太陽熱を利用してお湯をつくる装置が置いてあるが、それだけでは冬場は熱いお湯は無理なので追い焚き用のボイラーの設置をするわけである。 配管屋は旧型だがサラの安いボイラーを見つけてきてくれた。 この配管屋も一人で仕事をしている職人で自分は本来は電気工事屋なんだと言っている。 この電気屋兼配管屋は小型のユンボを持っていると言うので、既存のタイル張りの汲み取り便所の解体と廃棄も彼に頼んだ。
 それに田の字型の和室の真ん中あたりがかなり沈み込んで部屋が傾き、畳の上を歩くとブカブカしているのでジャッキアップして基礎石を下部に入れてレベルを上げる作業も左官屋の知り合いの大工さんを頼んだ。 これはまだ決定していないが階段の位置も少し動かそうと考えているのでそれもついでに大工さんにやってもらうかもしれない。 となるとオフの仕事は内外の壁面の下仕事と天井張りと床張りの仕事が主体となるだろう。
 今回は和室部分はあまりさわらずに、例によってLDKと寝室、それに今回は二階があるのでここにキッチンと便所を作り、二世帯暮らしも可能な家にしようと思っている。 

 今日の仕事

 昨日解体した小屋の整理を始める。
 母屋、桁、棟木などを野地板から外し、柱や梁などと一緒にする。 近所の人はもう少し寒くなったら焚き火にして燃やして暖まれば良いよ、と言ってくれる。 そんなことをしたら消防が来て叱られるでェ、という綾部の人々とは社会性が微妙に違う。
 社会的な関係とか慣習は法とは別個にそこに住む人々の暗黙の合意の中で成立しているものである。 人々の許容量の幅が広い社会が、すなわち誰にとっても住みやすい社会なのだろう。
 その後二階の屋根の上にあった、かなり旧式のクーラーの室外機のバルブを外し左官屋と二人でロープで吊るしながら下へ降ろし、室内機も取り外す。 午後からはこの先のリフォームのプランニングを現場を見ながらいろいろ考える。