暗いアンパンマン 2

  先日の同窓会に当時の同級生が今は高校の校長となって出席していたのが二名いた。
 その外校長がもう一名いるがその男は同窓会には出席してなかったのだが、その高校は一応田舎では受験校として知られている。 まあその男は、どちらかと言えばオフと違って、敵を作らずすべてに渡って浅くソツのない対応をするタイプである。 その男の話題が出ていて、あいつはある席上で今年度自分の学校から東大に3名現役で受かったと得意げに話していた、と誰かが言っていた。 それを聞いただけでオフは飲んでいる酒が急に不味くなったのだが・・・。
 オフは別に生徒が東大に入るのが悪いとは思わないが・・・同時にたとえその年の生徒全員が東大に合格したとしても、その高校が良い高校だとは決して思わない。 むしろそんなことを基準にして教育を考えている校長や先生がいる学校をバカにしてしまう。
 受験校というのは特権的な特殊な学校ではないし、そこがそのような場所ではない。 世間離れした学校だけの、先生たちだけの単一の論理や思考がまかり通っていることが、そこに通う半分以上の生徒を苦しめているはずだと思っている。 その象徴が、あのアンパンマンの暗い顔なのである。
 文武両道という言葉があるが、勉学だけでなくスポーツも県代表などになって活躍して名前を広く知られているのが良いのか、といえばそれも悪くはないが、それが加わっても良い学校だとはけっして思わない。
 じゃあどんな学校が良い学校なのか?・・・ずばり答えると、アンパンマンが暗い顔をしない学校が良い学校だと答えたい。
 オフ的には、たとえその学校で成績がビリの上、スポーツも駄目でも、そんな落ちこぼれ生徒がその学校に通うのが楽しい学校が良い学校である。  そんな当たり前のことを、校長以下先生たちが目指している学校がオフ的には理想の学校なのである。
 これではあまりのも抽象的だが、オフがアリとキリギリスで悩んでいた時、少なくとも勉強すればよいことが待っているのではない、と世間では当たり前のことをはっきり言ってくれる先生があの学校に一人でもいれば、オフの当時の心のありようはかなり違っていただろうし、アンパンマンもあそこまで暗い顔をしていなかったのではないかと思うのである。


 余談だが、オフたちが通った高校では修学旅行がなかった。 大学でそのことを言うと皆に呆れられ馬鹿にされ、なぜかオフが恥ずかしい思いをした。 おそらく受験勉強に差し障る、というのがその主な理由 (ちなみに就職することを選んだクラスは修学旅行をしていたから) らしい。
 なんとその伝統?が県下の受験校では今でも続いていて、オフの息子達も高校(オフの母校と違うがここも受験校)での修学旅行はなかった。 
 

 これも余談だが、オフがまだ商売をしていた頃、事務所にある男が尋ねてきて、高校への寄付を頼みに来た。
 町の有力な人でまったく知らない人ではなかったが、オフは高校にはうらみつらみこそあれ、良い思い出なんか一つもない、と言ってさらに、あの高校を廃校にする話なら100万円ほど寄付しましよう、とすまして答えた。 その男はしばらくオフの顔をジロジロ見ていたが一言も言わないで静かに出て行った。 たまたま同じ高校を出ている事務員さんは、その時の二人の応対が可笑しいと、男が出て行くなり噴出して笑い転げていた。

 
 オフが教育ということを考えさせられた映画がある。
 アメリカの作家アービング原作の『サイダーハウス・ルール』というタイトルのハルストレイム監督作品である。 ここに出て来る校長先生こそがオフにとっていわば理想の教育者像である。


 今日の仕事


 朝昨日の仕事の跡の写真を撮っていて土蔵の入り口の戸の鴨居を留めていなかったことに気がつきそれを済ます。
  今日から後片付けである。
 最初に前の家主が置いて行ったプラスチックの桶をはじめ種々雑多なものを軽トラに積んでクリーンセンターへ廃棄に行く。
 一応建築廃材は禁止ということだが、それも少し積んでいって見る。 木材も少々ならとクリーンセンターでは全部引き取ってくれた。
 ここの受付の担当者は毎月替わるが、今回の担当はうるさいことを言わないで、材木置き場へ持っていけ、で済んだ。


 帰り道ダンボールを買い取るという業者あいると聞いていたのでそこへ寄って、少し濡れているものでも大丈夫か確認してくる。
 まずキッチンシンクや化粧台、照明器具などこの間買った製品やフローリングなどが入っていたダンボールを壊して広げる。 軽トラに積んで一回で行けるかなぁ、というくらいの量になっった。
 午後からはそのダンボールを積んで業者のところへ運んだ。 車内のバックミラーからは後ろが見えないくらい積んでいったが、買い取り料金は濡れたダンボールもあるということでその分差し引かれ600円也である。 おそらくクリーンセンターでは無料だろうから、これでもありがたいと思う。


 その後土蔵の床や垂木、大引きなど半分腐っている木材を軽トラに山と積んでクリーンセンターへ持ち込む。 先ほど顔見知りになった担当はまた、材木置き場へ持っていけ、と言ってくれたが、処分料金は3200円と高い。 材木はあと半分あるが、こちらは舞鶴にある民間業者へ持ち込むともう少し安いが、距離が少し遠いので迷うところである。