やせた鶴瓶

 土蔵の仕事を一段落して、また元便所の壁面の仕事にかかる。 炎天下の中での仕事である。
 蒸し暑いのだが、昨日、一昨日に比べるとやや蒸し暑さは薄らいだ。
 今日が高校野球の決勝戦ということだが、テレビがないせいもあるが今年は一試合を見なかった。 世間ではお盆休みも終わり、今日が子供達にとっては夏休みの後半が始まった日なのだろう。
 下の家の庭にはコスモスがもう花を付けている。 暑い中にも少しずつ秋が忍び寄ってきている・・・夜になると秋の虫が声を上げて鳴いている。  
 残暑といえば嫌になるが、もうわずかしかなくなった今年の夏を堪能する、と思うことにしよう。 


 仕事をしていると近所の鶴瓶に似ているオッサンが入ってきていて、いきなり、お〜い おめこする部屋出来たか?と言う。
 あはは・・・出来とるでぇ、と答える。 おめこする部屋というのは改造して床を張った土蔵のことである。 先日オッサンが来た時に、土蔵を改造して何するんや、と聞くので、きまっとるやろ、あれや、と答えといた。 オッサンは、やっぱりそうか、あれか、とうれしそうに笑っていた。
 ひとしきり土蔵の中を見て、二階へ上がられへんやん、と文句を言う。 階段はややこしいから最後や、と答えると、しょうもないなぁ、せっかく二階からのぞける穴があったのに、塞ぎよったなぁ、と言う。 ワシャこの部屋を借りて、もう間にあわんオジンを二階へ上げて、穴からおめこしとるのを見せて金取ったろかいなぁ、と思とったのに・・・なぁ。 誰がするの?と聞くと、そんなの何処にでもいるやん、ここが秘密のホテルやと宣伝してけば良いんや、と答える。 そいつらからも金取るの?と聞くと、当たり前やろ、と答える。
 オッサンがするんかと思ったわ、と言うと、ワシか?と聞くので、そうやオッサンや、まだ間にあうんやろ? そらぁ、間に合わんこともないけどなぁ、相手がなぁ・・・と口をにごす。
 このオッサンは時々顔を見せるのだが、先日も屋根の上に上がって仕事をしていてオッサンと喋っていたが、帰っていってしばらくして丸ノコを使おうと思うと動かない。 下へ降りて見ると延長コードのプラグが抜けている。 いつの間にかオッサンが電気の延長コードのプラグを抜いていったのだろう。 年をとっていてもこんな子供みたいなしょうもないいたずらをしていく。 それでもこのオッサン時々夏野菜などを手に提げて来てくれる。
 少しあらためて、ここんところしばらく顔を見んかったやん、と言うと、そうや、あの世へいっとったんや、と相変わらずとりとめもない返事である。 


 今日の仕事


 今回屋根を直した元便所の横に壁下地を始める。 まず外壁の一番下地になるシージングボードを張った。 狭い箇所が多く、しかも長方形ではなく変形した三角形が多いので、寸法を取って墨付けがやや面倒である。
 その後、明日からの仕事で必要なメタルラスやモルタル材料のセメント、砂などを買いに行く。