蛸飯

 母屋の仕事が大詰めに来ている。 どうやら今月中には無理みたいだが、7月に数日食い込むだけで何とか終了できそうだ。
 問題はその後の土台が腐っている蔵であるが、とにかく今はあれこれ考えないで進む。
 それにしても納期のある仕事の場合は大変だなぁと思う。 まあ、オフのように一人仕事でないだろうから、そのぶん頭数を投入するだろうが・・・。

 梅雨である。 外の便所の横にアジサイが一輪だけ咲いている。 一輪のアジサイも悪くないものだ。

 蛸飯を炊いた。
 本来湯振りにして食べるつもりで買ってきたのだが、昨日はバイ貝の煮付けをしたが、これが新鮮だったので、クルクル巻いている奥の内臓の端っこまでムッチリと美味しかった。 その前の日は買い物に出かけた日だが、鳥の内臓、卵巣や腸や胃、の煮付けをした。 オフは鳥のこの部位がメチャ好きであるが、たいてい玉葱や椎茸、竹の子などと煮るが、一昨日は万願寺シシ唐も入れて煮た。 そして今日が蛸飯である。 今日は蛸をサッと煮て、その汁でご飯を炊いて最後に蛸と混ぜた。 ご飯と一緒に炊くよりこのほうが蛸が固くならない。
 オフは美味しいものに目がないが、とくに魚など海のものが好きである。 だが魚は新鮮なもの、しかも安いものに限るので、その場合頻繁に買い物に行く必要がある。 綾部の町まで車で20分ぐらいかかるので、今は週に一度ぐらいの買い物なので新鮮な魚類は週に一度か二度ぐらいしか食べれない。 それが今は一番残念である。
 週一度の買い物だが、どっさり買うので結構な金額になる。 まあそれがたとえ7千円だとしても一日に直せば三食食ってせいぜい千円程度なのであるが・・・
 

 今日の仕事


 昨日リビングとダイニングの間の柱間に入れた意匠の横木をもう二本入れる。 昨日の場合は、折れたいた柱を繫いだ時のナットやワッシャーを隠す意味もあり、片側はナットに引っ掛けて持たせてある。 今日の場合は何もないのでコの字型のウケを柱に取り付けてそれで載せる方法を取った。 しかし出来上がったものを見るとどことなく野暮ったい。 そのままにして玄関の野地板の天井張りに移る。 昨日塗装をしておいたので今日は大きさに切って張るだけであるが、既存の天井面にビス止めしていく訳だが、その度に細かい煤や埃がパラパラと音を立てて落ちてくる。
 ビスの址がある縁の部分は明日にでも細い木を買って来て止めて隠す予定である。 

 午後からは風呂場の壁と天井部分に白いペンキを塗る。 これが大変だった。 風呂場用のペンキは水性だがかなり粘りがあり、下地がリシン拭き付け式の少しデコボコしている下地なのでその隙間に入っていかない、つまり埋まらない。 無理に刷毛に力を入れるとポタポタとペンキが落ちるし、少し水で薄めると半分は垂れるは、落ちるはで、もう滅茶苦茶でござりますがな、状態である。
 少し面倒でも窓や電気などを養生をして、スプレー缶タイプで吹き付ければ良かったなぁ。 それよりも何よりも、天井は漆喰を塗る方が腕は疲れるがよほど楽だった。 三分の一ほど残してペンキがなくなって終了したが、水性だといっても乾くと取れなくなるのでさっそくシャワーの水で洗い流す。 それにしてもたんにペンキを塗っていただけなのにメチャ疲れてしまったよ。

 夕方までは時間があるので、建具に塗装をする。 先日一度目の塗装をしたままにしていた舞良戸の板の部分に二度目の塗装をする。 
 続いて、腰付き障子戸四枚の腰の部分に一度目の塗装をする。
 一枚だけだが腰板がひどく反っている板があるが、これも直しに出したいと思うが、今の建具は組んでからはばらして直せるのだろうか?
 この建具屋は人は良いが腕の方はどうもいまいちのような気がする。 もちろん安くするように言ってあるのだが、田舎の知っている建具屋は安くしろと言うとそれなりの材料で仕事をしてくるのだが、それでももっと綺麗な仕事をする。
 それに親子の押入れの戸を中樋端の向き変えして直して持ってきたが、どういう訳か子の戸のほうには取っ手が付いていない。 また、親の戸を全開にした時に子と親の戸が揃わない。 おそらく親の戸を既存の押入れの大きさに作り、子の戸を間口の余りの寸法で作ったのだろう。
 まあ、このような不思議な親子の戸を作ってくれと言ったのはオフが初めてだったらしいが、最初の仕事だとしてもプロの職人ならすぐに飲み込める程度の注文だと思うがなぁ・・・