キッチン、塗料

 流し台のカウンターを取り付ける仕事をしたが、気になる問題が一つだけある。
 それはシステムキッチンの場合はシンクの向こう側に棚のスペースが広くなっていて、そこから蛇口を立ち上げている。 しかし今回はセパレートのシンクなので蛇口を取り付ける広さがなく、本来ならこのタイプは壁にカランを取り付けるのだが、それをやむなくカウンターの上に取り付けることになる。 その場合蛇口の位置がかなり高くなってしまうことである。
 小型のシステムキッチンを買えばよいのだろうが、システムと名前が付いただけで値段が数倍高くなる。 システムキッチンと普通のキッチンとなにが違うかといえば、たんに上に乗っかっているカウンターが一枚もののステンや人造大理石で出来ているかどうかだけのことなのである。 システムキッチンは厨房メーカーにっとては設備料金を吊上げる救いの神なのである。  今回オフが買った1800ミリ巾の総ステンレスのシンクの値段は10万を切っている。
 

 昔、学生の頃大阪の神崎川だったか淀川だったかが流れているすぐ横にあった塗料会社でアルバイトをしたことがある。
 冬の間そこで働き、たしか一月半ほどの間に7万円のアルバイト料を稼いだ。 その頃学生は月2万円もあればアパート代を払って楽に暮らせる時代だった。 もっともアパート代がタタミ一畳1000円だった頃であるが。 朝8時までにそこの会社に入るためには6時ごろ起きていたが、夜も帰るのが遅くたしか連日11時頃だった。 日曜日も出社で毎日毎日残業をして帰っていた。 仕事はきつかったが若かったから身体が持ったのだろうと思う。 オフは大型のミキサーで塗料を作る部門で働いた。 原料を組まれているキャットウォークから大型ミキサーの口に入れて、それを一定時間回して塗料を作り、それを缶に詰めるである。 最後の頃はそこの現場の責任者から信頼されて、いろんな塗料を少しずつ混ぜて見本の色に近づけていく仕事もやった。 出来た塗料を板に塗ってそれを持って責任者のところへ持っていって、それの色合具合を見てもらいOKをもらえば、今度はそれを金属の20キロぐらい入る円筒形の容器に詰めて注文が入った分の数だけ倉庫に積むのである。 そこの会社には共産党系の労働者がいて、その人の指示で時々半数ぐらいの従業員が残業を拒否する。 そうすると同じ残業でもめちゃめちゃ忙しくなり、責任者の人も出てきてやってもやっても仕事は終わらなかった。 その責任者の人は寡黙な人だったが、元は組合の主要なメンバーだったが今は会社側に寝返った人だと、組合の連中には特に嫌われていた。 組合の連中が言うほど悪い人ではなかったと思うが、どこか修行僧のようなタイプで好きな人ではなかった。 非組合員の人は、表向きは働くが影では怠けている人や、口先だけの調子の良い人や、残業もどこか嫌々やっていてあまり良い印象の人はいなかった。 そうかといって組合系の人たちも個人的にはそう悪い人もいなくて、普段は仲良くやっているのに組合が出てくるとギスギスと人が変わってしまう。 それでいて残業してお金はもらいたいが・・・というような態度もあって、すべてにわたってなんだかちぐはぐな感じが支配している会社だった。

 事務所に色気ムンムンのきれいな女の人が一人いて、若い従業員たちはその人が化粧が濃いのであいつは遊び女だとあしざまに言っているのに、いざその人の前に行くと皆なんとか気を引こうとしているのがハタからみていて笑えた。 そうそう、その人とたまたま駅から一緒に会社まで話しながら歩いたことがあるが、その後変なうわさを立てられて困ったこともあったなぁ(笑)

 
 今日の仕事


 朝から設備屋が来て玄関先のアプローチのコンクリートをカッターで切削し始めた。 その後コンクリートをはっつて、小型ユンボでダンプに積み込んでどこかへ捨てに行っていた。 夕方までには浄化槽を埋めるスペースは土砂も運び出され平らになっていた。 設備屋は忙しいらしく来週後半に浄化槽を埋める穴を掘って設置しますと言って帰っていった。 
 現在ダイニングとキッチンの間に境はないのだが、真ん中にジャンボシンクを置いてそこが境となる。 周りをぐるりと回れるのでいわゆるアイランドキッチンと言われる形式の台所である。 そのシャンボシンクを置く位置決めをしてその箇所だけにあらかじめ塗料を塗った。

 買っておいたアサヒペン社の7リットル入りの水生木材保護塗料のライトオーク色だが、どうも色が赤っぽくて気に入らない。
 先に天井に使ったオークよりライトオークなのに濃いくらいである。 一度目の塗りは仕方ないとして、これでは上塗りする色は別の色の塗料にせねばならない。

  横幅が1800ミリあるシンクの下部に台座を付ける。 シンクは高さが800ミリに出来ているが、最近は日本女性も背が高くなっているので、ツーバイフォーの材で台座を作り40ミリ高くしてその上に乗せる。
 午後からは90ミリ角の桧の大引き材を買ってきて、正面と片横にL字形のカウンターを載せる台を組む。 今回は頭の中で設計図が出来ていなくて、場当たり的に考えながらの仕事をしていったので結構時間が掛かる。