建具屋さん

 建具屋が寝室の押入れの親子の襖戸、座敷の床の間の地袋戸の戸合わせに来て行った。 そのついでにすでに完成していた便所と風呂脱衣場の舞良戸を取り付けていってくれた。 この舞良戸は現在白木のままだが、まあ白木でも悪くはないのだが、明日にでも塗装しようと思っている。
 横桟の部分と下地の板の部分と色を分けて塗りたいので、塗るのに少し手間が掛かりそうである。 夕方、ホームセンターへ出かけて先の細い筆を買ってきておいた。 
 話を訊くと、建具屋さんはオフより一歳年上で、学校を出てから年期奉公に出て10年余り親方について修行し、その後棟梁大工の下に入って仕事をしていたが、44歳で自分で仕事を獲るフリーの建具職人として一人立ちしたという。 気が付いてみるとその頃には綾部にも沢山いた建具職人はほとんど廃業していたそうだ。 そうだろうなぁ・・・現在家といっても和室があるのは一間ほどだし、洋間はほとんどメーカーが作る既存のドアなどを大工さんは買って使うし、下手すると和室も既存の建具に合わせて作る場合が多い。 どんどん職人が必要なくなっていっている。 大工さんだってプレカットやプレハブの出現で、昨今組み立て屋になり下がった。
 建具屋さんは、5時に仕事を上がりパチンコに行くのだそうだ。 彼はパチンコが唯一の道楽だそうだが、そこで逢う職人同士の話の情報も仕事上結構大切だと言う。 パチンコ店には2時間以上居ることはなく、その後また仕事場でもう一仕事して帰るのだそうだ。 子供が二人だが、孫が五人いて、その孫の相手をするのも楽しみで・・・じいちゃんは仕事に行くよ、と言うと孫が泣くので、ついつい仕事へ行くのが遅れてしまうそうだ。


 そろそろ母屋の部分が完成するので、次は蔵の床を張らねばならない。 まだ、蔵の中には前の持ち主の隣の婆さんの衣装とかいろいろ入っているが、今度の日曜日にでも変なオジサンを使って運び出すと言っている。
 その床張りのフローリング材の注文を出した。 4メートルの桧の無垢のフローリングだが、さすがに桧の一寸(3センチ)厚のものは高くて使えないので、半分の五分厚を頼んだが、それでも坪あたり14000円もする。
 五分では厚さが足りないので、下地にも一応こだわって桧の野地板を敷いておくつもりである。 最近は五分厚のフローリングを下地なしで根太の上に直接張ったりしていると聞いている。 下地の野地板などはたいしたお金(杉でせいぜい坪1000円ほどだろう)が掛かるわけではないが、それを張る手間賃を省いて安上げなくてはハウスメーカーの作る低コストに対抗できない・・・だがなぁ・・・それを省くことで家というか、床の耐用年数がかなり違ってくるはずなのだがなぁ・・・


 今日の仕事


 あと一息になった壁仕事はいったんおいて置いて、今日は久しぶりに大工仕事。
 便所の床を張る。 ここは以前は裏へ抜ける勝手口で、床は土間で細長い通路(2・4×1・3メートル)のようなところであった。
 そこに大と小の便器とさらにモップも洗える深型のシンクを横に並べるつもりである。 また勝手口としても利用するので、外部への出入り口付近は靴脱ぎの土間にして残しておいた。 下部はモルタル塗りの土間なので大引きを敷くのは比較的楽だったが、排水や給水の立上がりパイプ七個と多く、厚さのある杉無垢のフローリング(3センチ)を張るのは結構大変だった。
 框の部分と床の部分がそれぞれ少しずつ逆に傾いてしまい、登り口の段差が大きくなってしまったのをはじめ、床材の隅の隙間(無垢材なのである程度隙間が必要なのだが) も少々目立つ不本意な出来上がりとなった。 こういえば言い訳になるだろうが、壁塗りの疲れが残っていたので全体にアバウトな仕事になってしまったようだ。 反省。