左官屋

 オフは今日から左官屋さん、つまり壁塗り仕事をした。
 昔オフがまだ高校生だった頃かなぁ、ラジオ番組に河内桃子というアナウンサーがトークする短い番組があって、そこで語られていた話に・・・宅の主人は左官でしてねぇ・・・まあ、それはうらやましいですわぁ・・・などなどと言うようなバカな話をゆっくりと切ない声で語っていたのを今でも憶えている。
 

 4時少し前に塗りを終えるが、丁度の時間である。 左官仕事は大工仕事などと違ってギリギリまで塗り仕事をしない。 壁塗り仕事はミキサーや籠手など道具の後始末しておかないとさっそく明日困るし、塗る時に落ちた生地や柱にくっ付いた生地を始末しておかねばならない。 ただし生地を練っていったん塗りに入ると、生地が固まってくるので途中で一服ということは出来ないので、その分あとで疲れが出る。
 今日も食事の準備をした後、急に疲れが出てソファーで小一時間ほど寝た。 

 なお今日のオフの晩のおかずはカボチャと椎茸とホタテの煮物とキンピラゴボウである。
 最初は牛蒡をササガキして牛肉との柳川風丼を作ろうとしたが、あいにく卵を切らしていたことに気がついて急遽変更した。


 今日の仕事


 午前中、昨日買ってきたメタルラスを先日アスファルトシートを張った上にハンドタッカーで止めて、その上にモルタルを塗る。
 今回の外壁塗りは約1坪分ほどのスペースだが、残っていた調合モルタルを少し多いかなぁ、と思いながら全部入れて練ったがやはり三分の一ほど余った。 それにメタルラスを切るのがやや大き目だったので所々浮いていて、モルタルを塗る前に、これはまずいかなぁ、と思ったのだが・・・やはり結果は良くなかった。
 仕事の良し悪しはほとんど下地仕事で決まると言われるが、まさにその通りである。 メタルラスを切る場合もちろん丁度に切るのがベストだが、大きいよりもやや小さ目のほうがベターだということなのだろう。 余ったモルタルは石積みの箇所の下部がえぐれているところへ流し込んでおいた。
 午後からはいよいよ内部の壁塗り。
 ラスボードに砂混じりの石膏を塗って行く。 石膏と漆喰は相性が悪くないが、プラスターボードやラスボードの表面に貼ってある紙はアルカリ性の漆喰と相性が悪く、後に剥がれの原因となったりする。 そこでラスボードに一度石膏を下塗りした上に漆喰を上塗りする訳である。
 Bドライという商品名の石膏に砂などを混ぜた調合プラスターの袋20キロを破り、三分の一ほどミキサーに入れて回し水を入れて程よい硬さに練っていく。 数年ぶりなのでその硬さが加減が分からないまま奥の和室のラスボードに塗って行く。
 なんだかよく分からないが上手く行かない。
 籠手で押さえて伸ばそうとすると籠手にくっ付いて、せっかく塗ったところがまくれ上がってくる。 気のせいかもしれないが硬化も少し早いようである。 こんなはずではないんだがなぁ・・・と気持ちが焦ってくる。 硬化してしまってはどうしようもないので、上手く伸ばせないまま闇雲に塗って行くがデコボコも良いところである。  ラスボードに水を吹き付けておけばどうだろうと思い付き、あわてて霧吹きで吹き付けた跡へ塗って行くがあまり変わりはない。 すっかり自信を失くしたが、次の三分の一を練って塗る。 今度は少し軟らかめでポタポタと落ちるが、まあまあの伸びで塗れるが、やはりデコボコはデコボコである。 最後の三分の一はようやく50点を付けれるほどの塗りになった。 その後塗った表面に霧吹きで水を吹き籠手で再度押さえる。 それで少しはデコボコが均せたが、なんだか姑息な仕事である。 最初上手く行かなかったのは、午前中ミキサーでモルタルを練ったその跡で石膏を練ったせいではないかと思う。 石膏はたしか鉄分やアルカリが混ざると硬化が早まると聞いたことがある。