春の嵐

 午後、仕事をしているとあたりが急に真っ暗のなった思うと、まもなく光った直後にピシャッと鋭い音を立てて雷が鳴った。
 間違いなくどこか近くに雷が落ちたと思う。 しばらく雷が鳴っていたが、その内に大粒の雨がスコールのように降ってきたが、その雨もしばらく降った後で上がり、日が差してきた。 春の嵐というのにふさわしいめまぐるしさであった。
 なんだか最近は少し疲れ気味である。 その証拠に夕食の後は動くのがいやで、ソファーで横になっていると眠ってしまう。 それも短い時間ではなくて1時間ぐらい寝てしまう。 起きた後も身体がだるく、食事の後片付けをしようと思うがすぐに動けない。


 今日の仕事


 玄関から見てLDKの一番奥側はリビング・ダイニングが唯一キッチンと繋がっていない。 まずそこから床を張ることにした。
 本来なら一番最後に張るつもりだった箇所である。 ここには勝手口とか小さな部屋、納戸を改造した部屋などの出入り口があり、壁面が出入りでデコボコしている箇所で、厄介そうなので一番最後に回すつもりだった。
 案の定大変で一枚目の床板を張っただけではそのデコボコが終わらないで、二枚目も床板に切り込みを入れなければならなかった。
 おまけに洗面台を置くつもりの箇所で給排水口の立ち上げが三箇所あリ、一番端だから前の床板が取りきれなくて残っていたりする。
 今日一日かけて四列だけ何とか張り終えた。 この後しばらく邪魔なものがないのでやりやすいだろう。
 しかし、リビングには三本の柱も立っているし、その古い柱が四角とか丸とかではなくて、複雑な断面をしている柱なのである。 床板がそれらの柱にかかる箇所に来ると大変である。
 前に山の家の床を張った時も一寸(3センチ)の床板を張ったが、あの時の材は北欧のパイン材だったが、今度は中国の柳杉である。 
 どちらかといえば柳杉のほうが材としては軟らかいが、お値段のほうはパイン材は無垢の一寸厚の床板としては安く、柳杉はそれより少し高い材である。  ただ無垢の材なので少々のゆがみやねじれがある。 
 大工さんが無垢の材を嫌がって扱わないのは、値が高いことよりも仕事に手間が掛かってしまうからなのだ。 倍程の時間が掛かって仕上がりが綺麗にいかないのである。 そして後々に隙間が出来てきたり歪んだりする場合もある。 木材は自然のものだから曲がったりねじれたりするものなのであるが、現代の人々はそれを嫌うので工場で作られる表面に薄いブナだとかサクラ、カリンなどの材を貼り付けた建材モノが使われるのである。 しかし、時間の経過すると本物と本物に似せたものとの違いは間違いなく出て来るのである。 そして似せたモノは新しいときが一番良く、古くなればなるほど嫌になってくるものなのである。 その時はその時で廃棄して新しい建材物を使う、というのが今の社会の考えである。 家も車のように古くなったら廃棄して新しいものに乗り換えるものとして考えられ、作られ、売られ、買われている。
 ともあれ、今日張った床板も見た目には分からないが張り合わせていくと端と端はピッタリとくっ付くが真ん中に少し隙間が出来る。 建材モノのように隙間なく並ばないのである。 板が微妙に湾曲しているからである。 そしてまた季節によって、というか湿度で木が膨らんだり縮んだりするのである。 そのために無垢の材を床板として張る場合は、両端に少しの逃げを持たせるのがコツだ、と以前に大工さんに教えてもらったことがある。
 オフの腕ではあえて逃げを作らなくても、出来てしまうのだが・・・