映画 「ジャーヘッド」

 今日の仕事

 リビングに梁を入れる。 全部で梁は5箇所に入るのだが今日で四個目の梁が入ったことになる。 まず昨日買ってきておいた波トタンを繫ぎの屋根の脇に曲げてひいた。 というのも普通の雨では雨漏りしないだろうが、10年に一度のようなはが強い雨の場合、勾配の弱い繋ぎの屋根に両側の屋根から雨水が集まって集中すると流れが遅くて両側に溢れるおそれがあると見たからだ。
 今日梁を入れた箇所は母屋の端っこで桁の下に当たる場所である。 この家の桁の下には当初は半間(90センチ)ごとに柱が入っていたと思われる。 
 古民家にはこのように家の周りの桁の下に半間のスパンで沢山の柱が入っているのはよく見られるのであるが、たいていその後の改装で邪魔になって何本かの柱は短い梁を入れて抜かれているケースが多い。 今日の箇所も今まで壁に隠れて分からなかったが、柱は途中で切られて柄になっている状態だったが、なんとその下に来ていた筈の梁も外され、壁向こうの繫ぎの屋根の垂木に柄が大きな釘一本で留められているだけだった。
 その釘を抜くと柄が下がり両側の下がり壁も少し下がったが、上の桁は両側の柱で支えられていて下がらなかった。 ジャッキで柄を持ち上げておいて梁にホゾを造り柱間に入れた。
 先日田舎に帰った時に、同級生がやっている車の整備工場から以前は4トントラックに積まれていた中古の油圧ジャッキを貰って来た。 それだと先が三センチほどの半円状なので、そこに柱の切れ端にドリルで穴を開けて差し込んで載せて使っているが、結構重宝している。
  連日濡れている材で重い梁を一人で脚立の上に持ち上げて、片側ずつホゾ穴に差して、そっと叩いたりして入れている。 なかなか一発で決まらないから持って降ろして直してまた入れるの繰り返しをしている。 そんな作業の繰り返しで、その内にだんだん腕が疲れてくる。 そんな時こそ事故のもと、と自分に言い聞かせて気を抜かないでやっている。 無事入って終了した時は本当にホッとするが、気が付けばだるくて腕が上にあがらないほどである。

 その後これまで入れた四個の梁に羽子板ボルトやL字金物を取り付けて柱に固定して塗装をした。 配電盤のから出たケーブルの位置の間違いなど直し今日の仕事を終える。


 神戸で観た三本目の映画は 「ジャーヘッド」というサム・メンデス監督作品である。 彼はこれまで「アメリカン・ビューティ」 「ロード・トウ・パーデション」の二本の映画を監督しているが、ともに親と子の関係が背後に描かれている好きな内容の映画であった。
 今回は原作があり、その小説に忠実に撮られていたのだろう、この監督のテーマとする問題は出ていなかったが、兵士になった男の悲惨な家庭の状況が一瞬垣間見せてくれたていた。 幸せな家庭の男が好き好んで兵隊に行くなどということは少ないだろう。 イラク戦争にかかわった兵士は統計的には黒人やプエルトリコ系が多かったと訊くが、アメリカも社会的にマイナーな存在である人々抜きでは決して戦争は出来ないだろう。 


 ≫祖父も父も“ジャーヘッド”(ポットのように刈り上げた頭=頭が空っぽの海兵隊員)という青年スオフォード。18歳になって迷わず海兵隊に入隊した彼は、新兵訓練という名の虐待に耐えきり、偵察狙撃隊STAの候補に抜擢される。過酷な訓練の末、60名の候補者から絞り込まれた8名に残ったスオフォードは、1発の銃弾に命を賭けるエキスパートへと成長していく。そんな折、CBSニュースがイラククウェート侵攻を告げる。出撃の時を前に、アドレナリンを発散させる若き兵士たち。ついにスオフォードの戦争が始まろうとしていた。

 湾岸戦争での実体験を赤裸々につづったA・スオフォードのベストセラー小説を、『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス監督が映画化。敵の姿などどこにもない砂漠に従軍し、ひたすら“その時”を待ち続ける若き海兵隊員の退屈と衝動、苦悩と狂気を、兵士たちの等身大の視線を通して描き出す。空爆とメディアが主導するハイテク戦争と言われた湾岸戦争。その一方でどこにも報道されなかった彼らの“退屈な戦争”は、生きるか死ぬかの選択を単刀直入に突き付けられない分だけ、社会や人間性についての生々しい現実を浮かび上がらせる。≪


 最初にナレーションが入り、≪その後どのように生きるにせよ、武器を持った手がかかわった戦争を知っている≫と語られる。
 兵隊というのは最終的には武器で敵を殺すコマの一つになることである。 感情とか思想とか好みとかは自分の内に封じ込め、間違いなく命令を遂行出来る正確な機械のようになることである。 そこに自分個人が入る余地などない。 近代戦争というのはますますその様相を強めてきている。
 戦地にいる一兵士は戦争そのものの像が見えない、だがまちがいなく彼は戦場にいるわけであるのだが・・・
 近代戦争である湾岸戦争の実態が、武器を持つコマの一つになった一兵士の目で見事に描かれていたと思う。

 オフの評価点 60点