柱の移動

朝の8時少し過ぎだった玄関の戸が開いて、近所の変なオジサンが入ってきた。
 今日も手伝いに来た、とすでに軍手もはめて張り切っている。 オフはたった今朝飯を済ませて珈琲を入れようとしていた時だった。
 おいおいおい・・・なのだが、毎日張り切って手伝ってくれている手前もある、珈琲飲むか?と訊くと、もにょもにょ言っているが、よく聞いてみると、さっき飲んできた、と小さな声で言っているのだ。 オフが思わす、早いなぁ、と言ったので少しひけたみたいだった。 
 今朝は毎朝の楽しみのPCもまだ開いていないのだが、まあよい、それでは始めるか!と声を掛けて、いよいよ元の子供部屋を壊しに掛かった。
 オジサンはさっそく昨日出たベニヤを外へ出して始末しだした。 壁や天井の解体に主に使う道具はチェーンソウ、大きなハンマー、バールの大と小、だいたいこの程度のもので済む。

 今日の仕事

 
 子供部屋の撤去を始める。 
 まず天井裏へ上がって天井の吊り木を外すことから始めたが、実際には天井より壁を壊すことからである。 昨日出てきた下部がない柱の周辺から始める。 代わりをしている間柱二本は避けて、胴ブチで組まれた大壁下地を壊していく。 壁下地に石膏ボードが張られて壁紙がはってある箇所は壊すのが比較的簡単である。 ところがこの家は何度か改装を繰り返しているので、石膏ボードの下に化粧ベニヤが貼ってある箇所が多く、きわめて面倒である。 ましてそのベニヤに釘だけではなくポンドで接着してある場合はベニヤがバールでは剥がれなくさらに手間取ることになる。

 今日壊したのは元の子供部屋とその横の二畳ほどの小さな部屋とであるが、その小部屋は元の納屋で今はオフが寝室に使っている部屋と母屋との間を低い屋根を張ってつないで出来た箇所を小さな部屋にしたところである。 まあ、部屋というより実際は廊下代わりの通路として使われているような箇所である。 そこのクロス張りの天井は残すつもりでいたが、出て来た垂木と野地板を生かして天井代わりにすればほんの少しだけでも天井が高くなるだろうと思い、これも急遽撤去することにした。

 問題がまた出て来た。 その低い屋根の奥を受けているまだ新しい柱が一本また中間に出てきたのである。 これで部屋の中に三本の柱が出ることになる。 それにこの先外部を内部に取り込むことになれば、もう一本出てくるのは確実なので、都合四本の柱がリビングの中に出てくることになる。 これでは何ぼなんでも多すぎる。 そのうち下部がない柱とその横の柱は三尺(90センチ)ほど離れて横に並んでいるので、横桟を四、五本入れて意匠的に処理するか、そこの箇所に何かモノを置いて簡易な仕切りのようにすることが出来るだろう。 問題は新しく現れた柱である。 少し面倒だが、これの上に太目の梁を入れて壁のところまで移動しようと思う。