柱を抜いた跡

 仕事を進めながらこれは大変なことになってきたぞ、と思っている。
 天井張り仕事は大して難しい仕事ではないと思うが、まわりに高く出来ない古い天井が残るが、その古い天井とか、それに繋がっている既存の大壁とかと、両者と新しい真壁との取り合いがかなり面倒な仕事になりそうである。 いっそ全部新しくしたほうが仕事の進め方としてよほど楽だろうし、仕上がりも良いのではないかと思えて来たりする。 そうなると結局天井だけでなく壁も全部撤去ということになってしまう。
 そのあたりは、これから天井仕事をしながらおいおい考えてみることにしよう。 また、突然天の声が聞こえてくるやもしれないから・・・



 今日の仕事

 昨日やり残した梁を包み込むように隠してある部分二箇所を撤去する。
 まず、朝一番いにやることは周りの天井裏に掃除機をかけることである。 キッチンの上や建物の妻側の上などは下屋の上となるので天井は低くそこらはさわれない。 既存のボードにクロス貼りの天井を残してあり、それらを利用していくつもりである。
 昨日主な部分をやってしまっているので、今日は気持ちに余裕がありゆっくり仕事をすすめた。 チェーンソウなどをなるべく使わないようにして、以前の仕事の手順を見ながらその逆のコースを取るように解体していった。 今日は仕事を楽しみながら進めたと言うべきなのかも知れない。
 しかし今日もすごいゴミだった。 コの字型を上向けた形になっているので、ゴミ溜めのようにたまっていた。
 昨日から気がついていたのだが、この建物は何度か改装されているのだが、柱を二本抜いてあるのだ。 まあ、その代わりに小さな梁を渡して受けて邪魔のならないところに柱を立てている。 しかし、その柱のあった位置はさして邪魔になるような箇所でないはずなのである。 と言うか梁を一番端で受けている、ということは桁の下なのだが、だから当然その柱は桁も受けていたのである。 桁があるということはまさに家の端っこである。 (この建物は茅葺で屋根がサス構造になっているせいか、桁で梁を受けていない。 桁の下に短い柄が、じつは昔の柱の一部だろうが、入れてあり、その下に梁が来ている)
 さして邪魔にもならない位置の一番理にかなっている位置の柱を二本も抜く必要があったのかと疑問に思うどころか本当に腹が立ってくる。
 おそらく家人の要望だろうが、そんな仕事をハイハイと請ける大工も大工だ。 まともな大工なら柱を邪魔にしない間取りや住み方をすることを提言すべきところだろう。 それとも自分はどんな要請でも受けることが出来ます、と得意がってやったアホな大工だろうか。
 それにしてもたくさんの釘が梁に刺さっている。 梁の材は地松だから古釘を抜くのも一苦労だというのに・・・梁や柱にや平気でたくさんの釘を打ち込む家人や大工の気が知れない、というか家を愛しようとする気持ちがないことの一番の現れである。