弱い自分がいた

 山の家の雪下ろしは、アヤメ婆の家の雪下ろしをした業者が引き受けると言ってくれたので、ひとまずホッとしている。

 田舎の友人から正月の休みの間に帰って来い、帰ったら皆で集まって新年会をやろう、と電話が掛かってきている。
 現金なもので雪下ろしの心配がなくなったら、この時期帰るのが少し面倒になってきた。

 その友人達の一人だが、最近合併した新しい市をイメージアップする委員会の委員に選ばれたとのことだ。 行政が発注する仕事を請けて仕事をする側だったが、と言っても夫婦でやっているので元受の印刷業者の下請業なのだが、今度は仕事を出す側のアドバイサー兼世話役のような役回りになったわけである。
 さっそくそこからの仕事があったらしいが、まさか自分のところでそれを請けるわけにもいかず、若手の同業者に斡旋しようと打診した。 ところがその若手のデザイナー事務所は値段を聞いてその値段で私達は仕事は出来ない、と断ってきたという。 しかしその断った値段というのは友人夫婦が普段やっている仕事の値段の五割り増しぐらいの値段だということである。 それに友人の若い奥さんがすばやく反応した。
 私達が一生懸命仕事をしても、しても苦しいのは、あまりにも安く仕事を請けているからでしょう、私達は自分を安く売り込んでいるだけで、良い様に利用され、安い仕事をする程度の人間に見られて、上手く利用され使われているだけじゃないの!と・・・普段の積もり積もった鬱憤をぶちまけたらしい。
 友人の頭にその時なぜか、弱い自分がいた、などと他人事のようにシラット言っていた姉歯設計士の顔が浮かんできて、自分も今そんな顔をしているような気がして、急になんだか情けなくなった・・・と電話でしょぼしょぼと言っていた。


 今日の仕事
 
 昨日買ってきた直角のL型金具は幅は広いがビス穴が小さいし逆さL型で使用するタイプだったので、取替えに行く。
 それらの金具を柱の隅に取り付けていく、といってもせっかく固定したヌキを柱から
外しながらの二重手間な仕事である。
 その後、アールのついた鴨居が心持傾いているのが気になって、これも取り外してもう一度取り付けなおす。 その敷鴨居の間に片引き戸が入るので真ん中に半柱を立てる。 が、この仕事で鴨居の溝がある側に柱を立てるホゾ穴を敷居に掘ってしまった。 どうしようもないので、自分に腹を立てながらそのホゾ穴を埋木をして隠した。
 最後にその敷居の下の例の根ガラミの手前と裏側に1寸厚の幅広のヌキを当てて、ドリルで手前から4箇所穴を開け、ボルトとナットで締めておく。 根ガラミより両側の柱のほうが少し太いので、ちょうどその柱の出と出の間に長い板を挟んで締めた格好になったが、気休め程度かもしれないが、これで少しは根ガラミの補強になるだろうと思う。