天井裏

 仕事の合間に、電灯で照らして天井の上を調べる。
 屋根は茅葺特有の丸太を縄で縛り合掌を組んで梁の上に差す、いわゆるサス構造になっている。
 一番上の梁の上は竹を縄で編んで並べてある。 竹は長年の間煙に燻されて飴色の煤竹状態になっている。 その上まで今日は梯子を掛けて上がってみたが、萱がたくさん積んであった。 いずれ屋根を葺き替える日のために萱を貯蔵してあるのである。 しかしもう積み上げてから長年経っているのでカラカラに乾いてしまっていて、束がほどけているし汚いことはなはだしい。
 さてこの天井裏の構造をどのようにして見せ、しかもどのようにして天井を張るか悩むところである。 本来なら梁の上の煤竹の上に天井を張れば下から見た時に趣があるのだろうが、いかんせんそこまではかなり高いし、その場合周りをどのようにして塞ぐか、また煤竹には長年の埃やゴミが詰まっているなど問題が多い。 天井として空間を区切るなら、煤竹のもう少し下で水平に板を渡して天井面にしたほうが仕事はやりやすいし、後で埃やゴミが落ちてくる心配も少なくなる。 なにせその下はダイニングやキッチンなのだから。その場合は天井面がやや平凡な空間になってしまう。かといってあまり広くないリビングの上の天井面だけを高くするのも取って付けたようなおかしなものになる気がするし・・・。
 

 今日の仕事

 昨日に引き続き茶の間のベニヤ剥がしをする。 釘が柱や梁に打ち付けてあり、とくに梁は地松なので堅くて抜けなくてすぐ釘の頭が折れてしまう。 仕方ないからその釘は左右に振って折ったりそのまま打ち込む。 
 一番奥の北側の下屋の窓際の天井を取り壊す。 この箇所はほんらい縁側だっただろう場所だが、今は畳をひいて部屋の一部になっている。
 しかし屋根が低い下屋なので天井も低く、容易に手が届く高さ6尺(180センチ)ぐらいであるし、そこの天井はベニヤの化粧したものを使ってありいかにも安っぽいので取り壊すことにした。 この先奥の寝室の縁側で採用した化粧した下屋垂木の下がり天井にして少しでも高さを出すつもりである。 この部屋はそこの天井の他の天井は梁で区切られていて梁を境に高さが違うというおかしな状態である。 またその区切っている梁からしたの梁へ下がり壁がしてあるという訳の分からない部屋である。 壁を落とすのは汚いが、少しでもおかしな状態をなくするために明日にでもその下がり壁を落として撤去するつもりだ。
 取り壊し作業は汚いし面白くない仕事であるから、今日は早めに切り上げて左官材料店へ漆喰や砂、下地塗りの材料を買いに出た。
 この先漆喰を塗る外壁の一部は既存の漆喰壁であるがかなり汚れてきているので、この際そこも新しく上塗りするつもりである。
 その場合既存の漆喰壁に下地処理剤を塗り、乾かしてから一度モルタルを薄く塗り、その上に漆喰を塗るのがベストらしい。 とりあえず明日はその仕事を汚い壁の取り壊し作業の途中に組み込むつもりである。