材料費

 先月末あたりの締めでこの家の改装にかかった材料費はおおよそ100万円あまりになっている。
 この中にはモルタルを捏ねるマゼラーというミニミキサーの料金や小さいがカンナの替刃や丸ノコの修理費なども入っているから、純粋に材料費だけとはいえない。 この金額が高いか安いか。 東側と南側の下屋根の瓦の葺き替えもしているから、けっして高いとは思わない。使った材木は節ありでたしかに安かったがほぼヒノキ材である。 今のところここにオフの労賃は入っていないが、これらの仕事全部を職人を頼んでやっていたら、面倒な仕事が多かったから、おそらく最低でもこの三倍は請求してくるだろうと思う。
 この家が改装が終わりトータルでいくら掛かり、それを不動産屋がいくらで売りに出せると言うか、またいくらなら買おうという人が出てくるか先へ行っての楽しみであるが、その時点で初めてオフの労賃がはじき出されることになる。 たとえ材料費だけの上乗せで、オフの労賃がなしでも文句を言う筋合いはない。 好きなことを好きなようにやれた上にいろいろ勉強も出来たのだからだ。


 今日の仕事
 
 北側と東側の外壁の腰板に化粧柱を付けて行く。 
 下見板の受け材がほんの少し出ているので、その分切込みを入れたりする。 とくに東側は坂になっているので柱方で受け材の高さが違ったりしている。 端の柱の場合縦に切込みを入れて下見板を隠さねばならない。 そんなことなどでけっこう手間取ったが、何とか終える。
 腰板の上に取り付ける笠木の仕事も予定していたが、そこまでは出来なかった。 その仕事は明日に回す。

 ヤスが来て、そろそろ奥の二間の仕事も終わるので、次の部屋の仕事に掛かる準備をしてもらう。
 玄関横の二間のうち茶の間として使われていた奥の部屋は、前の家主が古い柱や梁や土壁が嫌いだったのだろう。 すべての壁、柱、梁に丁寧にベニヤをあてて全部隈なく覆い隠してあった。 剥がして行くと梁や柱は曲がったものを使ってあるのでベニヤの下に曲がりにあわせた大きさに切った木切れを当てて、真直ぐになるようなご苦労な大工仕事がしてあった。 こちらは古い柱や梁や壁が好きだから、逆に覆いを全部外してすべてさらす仕事をこれからしていくわけである。 この二間は全部はがした後掃除して、あとは壁塗りの仕事だけで済むのかもしれない。
 そうなるとその隣の台所、ダイニング、リビング、便所などの仕事に入っていくが、これらにみっちり3ヶ月間かけることが出来るだろう。