夢の中で

 腰が夢の中に出た来た。
 まことに持っておかしな話だが、腰が夢の中に出てきてオフを相手にしゃべった。
 腰はどんな姿をしていたか? それは分からない。 なぜなら腰の姿は出てこないで、ただ腰の声だけ聞こえただけだったからだ。
 腰が言うには、今腰の内部で炎症を起こして赤くなって腫れているというのだ。 それでそこが神経を圧迫して痛いのだ、という。
 君の場合は腰といっても本当は背骨が悪いのだよ。
 それって椎間板ヘルニアになっているということか?
 よく知っているね。じつはそうなのだ。背骨の軟骨が磨り減ってクッションが悪くなっているんだよ。でも君の場合すぐ良くなるよ。
 ほんとか?
 ほんとだよ。ほらもうあまり痛くないだろう。
 そう言われてみると、なんだか少しも痛くない。あれれ・・・もう直ったのか!布団の中で一人喜んでいた。 だいたい二人でこんなようなことをしゃべっていたような気がする。
 しかし今朝起きてみると、夢の中の喜びはどうやらヌカ喜びだった。 相変わらず腰は痛い。 それでも昨日よりは少し良いような気がするが・・・仕方なしにのろのろと朝の準備にかかる・・・
 

 今日の仕事

 昨日に引き続き北側の縁側の床のやり直しの仕事を続ける。
 バリアフリーを止めたのでその分床が下がる。 そこで床を受ける根太を下げなくてはならない。 ということは根太を受けている大引きも下がるのだが、その大引きはそのままにして下がる分だけ大引きに切り込みを入れて根太を下げることにした。
 六尺(1・8メートル)の幅で片側がほとんどそのままなのに、反対側は一寸三分(約4センチ)も下がる。 それだけこの家の床は傾いているのだ。
 仕事の都合で部屋との仕切りになる敷居を外す。 最初からそうすれば仕事は楽だったのに・・・端に釘の頭が見えていたので敷居はさわらないようにしたのだが・・・本来の仕事だと敷居を入れるのに片側といえど釘打ちなどしないのだが・・・最近の大工さんはなまくらになっていてすぐ釘打ちで済ましてしまう。 その場はそれでよいのだが、後でやりかえるときにきれいに外せなくて困るのだ。 最も昔みたいに悪くなった部材を外し、新しい部材でまた組み直すなどという人も考えもなくなってしまっている。 今は資源の有効利用のほうが結局お高くつく時代なのだ。 やれやれ・・・
 ここには戸が入らないのでこの際敷居も無目にして新しくしようかと思ったが、上の厚い差し鴨居には溝も掘ってあるし、いつかまたここに戸などを入れたいと思う人がいるかもしれない、その時のことを考えてそのままにしておくことにした。
 根太の上に床を置いていく。ここの床は幅2尺(60センチ)の厚さ8寸(2・4センチ)のパインの集成材の板が三枚で床にしている。
 板と板の間は雇いサネといって別の木を咬ましてある。
 床に外側から内付けのサッシの端っこを乗せてビスで留めて仕上がりだが、お互いの床が別々に大きく傾いているのだが、内側から見るとあまり目立たないが、外側から敷居を見ると、あれれれ・・・何だこれは!と叫びたくなる仕上がりだ。

 その後、今入れたサッシ窓の内側に障子戸を入れる準備にかかる。 ここはどうしても障子戸を入れたいところだが、この家で使っていたのは障子の桟入りのサッシ製のガラス戸なのだ。 いずれガラスを抜いて桟に和紙を張ることにしてとりあえずそのまま入れておくことにした。
 サッシなので下に敷居はなく床にアルミのレールをビス止めするだけで、上は一応鴨居を渡しそれに溝付きのレールをビス止めする。 両側は壁なので方立てを立ててそれを戸当たりとする。 今日は組むだけで、明日ちゃんと固定したものにする。
 方立ての高さで失敗をしてしまった。 というのは戸の高さをぎりぎりに方立ての高さを切ったのだが、よく考えると後から戸を入れたり外したりする時少し持ち上げるので、少し遊びがないと戸が入らないし、外れないことをすっかり忘れていた。 端を欠いたのだ。
 恥をしのんで切り取った部材からまた端を2分(6ミリ)ほど切り取ってそれを方立ての端にボンドでくっ付けた。