空高く秋の雲が流れていく

 なんとなくだが生活にリズムというか、少しの余裕が出てきた。 このぶんでいけば夜の時間帯に好きな小説も毎日1時間くらいなら読めそうだ。
 なにせ夜長の秋に虫の声ばかり愛でているのも飽きてきた。
 一昨日の夜はあまり眠れなかったので、昨夜は眠れるだろうと思っていたが、結局3時前に起きてしまい、いろいろ家の造作について考えてしまいまた眠れなくなった。 ナポレオンは毎日3時間の睡眠でじゅうぶんだったと聞くが、人間がひとつのことに集中していると、寝ている時間が少なくてもじゅうぶんなのかもしれない。 金のため人からいわれた仕事をこなして毎日を過ごしていると、朝起きるのがしんどくなるのは致し方ないことだと思うが・・・ようは自分の好きなことをやって、それでなんとか生活が出来るのが一番幸せなことかもしれない。

 今日の仕事

 夜中に起きていたので、朝方眠り起きたのが7時過ぎだった。 明日自宅へ帰ることを予定している。  この地では生ゴミは朝の8時過ぎに集めに来るので、何よりもまず生ゴミを指定の場所へ捨てに行く。
 朝飯を食べ終わった頃に、瓦屋が来た。 総勢五人、全員地下足袋をはいて身軽な格好であるし、オフのように80キロを超えるような人はいない。
 そうそう、先日綾部温泉で体重計に乗ったら3キロ減っていた!弟のヤスも減っていたというから、あの体重計はあやしい、という話になったが自分としては少しお腹がへっこんだ気はしているのだが家へ帰って量りなおしてみよう。
 昨日の仕事の垂木の不揃いを見て瓦屋がなんというか気になっていたが、結局瓦屋は仕事がら屋根の上が気になるので、下から屋根を眺めようとはしなかった。 東側の屋根はすでに瓦を載せるようになっているので、彼らの仕事は家の正面つまり南側の屋根瓦を外すことから始まった。
 この南側の屋根瓦は戦後の一時期流行ったセメント瓦である。多分、古くなっているので雨の日が続いたりすると雨水が滲みているはずである。
 案の定南西側の角の部分を中心に野地板が腐っていたし、ボロボロの板を捲くってみると垂木も腐りかけていた。
 東側の壁の取り壊しを始めていたが、急きょ屋根に上り今日も垂木と野地板の取替えにかかる。 垂木は足りないので材木屋に電話するが、2寸5分の高さのものは造らないとないので午後からになると言われ、仕方ないので2寸角のもので我慢することにして取りに行く。
 2寸角の垂木の下に5分の細小舞を敷き2寸5分に間のせいにする。 寄せ棟の峰の場所だったが、垂木を持たす背骨になる木も少し腐り始めていて垂木がしっかり止まらないので苦労する。3時の休憩の直後に野地板を張り終わり、瓦屋に後の仕事を任す。 何とか終了できてホッとしたが、追われてする仕事は気持ちが焦るばかりだけでなく、仕事そのものを楽しむ余裕すらなくなって同じ仕事をするにしても面白みがないものである。
 瓦屋の仕事は今日で八分どうり終わり、明日は二人ぐらい来てしかも午前中に終わるだろう。
 この地は緩い崖の斜面に家々が建っているのだが、その斜面の崖に彼岸花が今を盛りに咲いているし、二軒下の家の生垣にはコスモスの花もたくさん咲いて、風に揺れているのが見える。