失敗

 蒸し暑い日が続いている。 この地はだいたい午前中が蒸し暑く、午後になって風が出てくると蒸し暑さはやわらぐ。 山ひとつ越すと日本海若狭湾の海が広がるが、午後には海からの風が吹くのだろう。 暑さ寒さも彼岸までと言うが、その彼岸が今日だが、まだまだ日差しがあると日中の気温は30度を超える。 今仕事をしている場所は家の東側なので午前中が日が当たってとくに暑く、お昼に家に入るときはシャツは汗でびしょびしょである。 昨夜、嫁さんが来た。 彼女と会うのは今月初め以来である。  それに今仕事をしている奥の二間の部屋が鉋屑が飛び散っていたので掃除してもらう。 きれいになった部屋で鉋を掛けるのが気が引けてしまう。
 お昼になって足場から降りるとラーメンが出来ていて、餃子が焼けている。

 今日の仕事
 垂木を並べてそれを一本一本桁に止めていく。 釘が使えるところは115センチの釘で、使えないところは斜めにコーススレッドで止めていく。 ところが午後からの仕事の途中で屋根がだんだん角度が緩くなっているのに気が付く。 垂木一本一本を隣との水平を見て角度を決めていたのだが、向こうから梁が来ている箇所で垂木の角度が上がってしまい、それにつられて残り全体の傾斜が緩くなっていった。
 それに気づいた時点で今日の仕事を止めた。 せっかく止めた垂木を外し、角度調整のために桁の上にカイモノした木材を取っていかねばならない。 そんな手直しの仕事をこのまま続けていても、目の前の自分の失敗に腹が立つばかりで、今日はお仕舞いにして彼女と綾部温泉へ行っくことにした。 お彼岸の連休初日でややお風呂は子供づれがいて騒がしかったが、高台に建って見晴らしがよい露天風呂から風景を眺めているとしょうがない仕事の失敗などきれいさっぱりと忘れてしまう。
 少し早い夕食を準備したあったオフの好物のコロッケで済まし、コーヒーを飲んで彼女を駅に送る。