外部のトイレ

五時前に起きてトイレに行く。 外は白々と明けている。 この家のトイレは外部にあり、場所は玄関を出たところの横である。
 昔は人々は終日家の周辺の田畑で野良仕事をしながら働いていたので、履物を脱がないでいけるトイレはそれなりに便利だっただろうし、それよりも何よりも、汲み取り便所だったので、家の外だと臭いが家の中まで漂うことが少く、外部のトイレはそれなりに合理的である。
 今の時期はまだよいが、これから冬になると家の外へトイレに出るのは大変だ。 夜中にトイレに起きればせっかく温まっている身体が冷えてしまうだろう。 今回の綾部での古民家の改築に当たって一番頭を悩ましているのはトイレの問題である。
 先日その問題で市役所へ訪ねていった。 担当する職員の答えは中上林地区には下水道を敷設する計画はありません、ということだった。
 その代わり、合併処理層を設置する場合は市がある程度補助をするという。 補助する場合、家の延べ床面積に応じて浄化槽の大きさが決まっていて、中上林地区は準過疎地域で170平米以下の家は五人槽で補助金が375000円出ることになっている。 この金額は浄化槽の約半分が補助金で賄えることになる。 それは有り難いのだが、この家には浄化槽を埋める場所がないのに困るのである。 家がだんだん下がりの坂の途中に建っているので低いところと言えば道から玄関へ入るわずかな上り坂の私道の上しかない。 浄化槽の上を通って家に入ることになるし、浄化槽は水平に置くものだから、家へ入るのは坂道ではなく階段を上るようにするしかない。 さらに面倒なことに風呂やトイレ、台所の排水路を家の床下を通して埋め込むことになる。 まあ、オフの計画では台所の床をまくり床をやり直す計画でいることはいるんだが・・・それのもうひとつ難問が出てきている。 風呂だが、設備屋からどうやら床から天井面までの高さが少し足りなくて、ユニットバスが入らないだろうと言われた。 そうなれば左官屋に頼んでタイル張りの風呂にせざるを得ない。 
 山の家のようないかにも素人仕事なオフの歪んだテラコットタイル張りでは自分だけしか満足しない仕事になってしまう。
 
 今日の仕事。
 午前中、東側の下屋の屋根の半分残っていた野地板をまくり、下屋垂木をはずした。
 午後からは、下屋の天井に積もっているゴミアクタ、猫のウンコやネズミが持ち込んだギンナンの殻、萱屋根から落ちた萱や藁屑、屋根瓦の下にひいてあった山泥など肥料袋に一杯半も出たが、マスクをして箒で掃きとり、その後バキューム掃除機で吸い取る。 桁の一部が半分ほど雨漏りで腐っていたのが気になる。 終わったのが三時半だったが今日の仕事はそこで終了にした。 昨日も今日と同じでキタナイ仕事だったので一段落した三時に終了した。 これが賃仕事だと、どうあろうと決まった時間から時間まで働くことになる。 そのことは一見合理的に見えて、実は大変不合理なことだと思う。 今日のような汚い、キツイ仕事をした時は、切がつけば早く終わって、明日に備えることはたいへん理にかなったことだと思う。
 今日で壊し方の仕事が終わり、明日からは下屋ダルキを取り付ける、つまり屋根を造っていくことになる。
 昨日の檜の二寸五分(7・5センチ)×二寸(6センチ)の垂木に続き、杉の五分(1・5センチ)厚の野地板も届いた。
 檜を使う仕事は、山の家の流しのシンクのメザラを作った時以来である。
 多分垂木を見えないところ(茅葺のサスに)に差し込んで、本屋の桁と、下屋の桁に大きな釘で止めて、出の高さを揃えるのはたいへん難しい仕事だと思う。