山の家

 昨日は台風を避けて神戸で過ごしたのだが、その台風は九州をかすめた後やや南よりのコースを取ったので、近畿地方は風というほどの風は吹かなかった。 7月に上陸した台風では戦後最大クラスと言われたいただけにやや拍子抜けである。 その代わり雨は各地でかなり降ったので、水不足の四国地方には恵みの雨となったのだろう。
 田舎の山の家でも山の水がトウトウと流れていた。 山の家がある地区は地すべり地帯なので、行政が斜面に横井戸を何本か掘って水を抜いている。 その水が山の家の裏側に出ているのを、各家庭がパイプで引いて飲み水としている。 各家庭と言っても今は全部で家が六軒しかなく、その内冬場も住んでいるのが三軒だけという小さな部落だが。 山の家では落差が取れないので仕方なく飲み水を一旦タンクに溜め、それをその都度ポンプで蛇口まで上げて使っている。 そのタンクから溢れた水が家の中の土間の小さな石の水槽に流れ込こみ、その水槽からもオーバーフローすれば流れ出るように配管してある。 夏場にスイカとか瓜などの果物やビールを冷やせるようにである。 寝ているとトウトウとその水の流れる音がたいへんよく聴こえてくるが、水の音が家の中に響いているというのは、自然気持ちが落ち着いてなかなかよいものである。 それに今回は夕方ホトトギスの鳴き声や、ヒグラシの鳴き声が加わっていたが・・・ この水は毎年五月頃かなり流れが細くなるが、六月の梅雨に入ると再び多くなる。 稲を作って米を食べている日本人にとってこの梅雨があるということは、まさに天の恵みであることが実感できる。 


 さて台風も去り、もうすぐ本格的な夏が来る。 八千代の家の仕事も終わり、この夏は久しぶりにのんびり毎日本でも読んで過ごそうかと思っている。 その場合、大半の時間は涼しいこの山の家で過ごすことになるだろうと思っている。