車の運転

 倉庫にはオフの背丈に合わせた仕事台を置いてあるので、ついついここへ材料を持ち込んで削ったり切ったりする。  一日の間にその日の仕事現場と倉庫の間を何度も何度も往復することになる。  六月に入ってからは倉庫で仕事をしていると室のように蒸し暑いが、今日のような日は外へ出ると通りを吹き抜けていく風があったのでホッとする。


 建具屋が玄関と廊下の間の両開き戸と便所、洗面所の入り口の片引きの舞良戸を二枚持ってきて取り付けてくれた。
 玄関と廊下との間に入る両開き戸は、綾部の家と同じ腰付きの障子戸である。 今回は障子の組子を荒くしてもらって、田舎風で素朴な感じを出した。 下部の六寸の框に埋め込みのVレールを入れた。 この敷居を兼ねた六寸の框、水平ではなく玄関から見てやや左下がりに傾いている。 というのは両側の柱が左へ倒れているからだ。 とくに右側の柱は上下で五分(15ミリ)傾いている。 やや傾きが弱い左側の柱に合わせて框を傾けておいたので、左側は戸が柱にピッタリとくっ付くはずだったが、柱の真ん中が膨らんでいて真ん中部分だけに戸が当たるということになった。
 真ん中が膨らんでいるのはカンナを掛けて削ることが出来る。 これが逆に真ん中がシャクレテいると面倒なことになる。
 右側は仕上がりで下部が四分ほど隙間が空いていることになったが、建具屋仕事としてはここまでです、と言う。 そうだろうなぁ・・・後は柱に材を宛てて傾きを誤魔化すぐらいしかなさそうだ。


 週のうち二度ぐらいだがお昼の時間に、O西商店と書いたトラックに商品を積んだオジサンが来る。 すると近所のおばさんたちが三々五々と集まってくる。 全員集まってきてもせいぜい十数人程度だが、それぞれ何がしかの買物をしていく。 オフのいる家の仕事場からそれらの光景がよく見える。 また、オバサンたちは買物もさることながら井戸端会議の噂話に余念がないみたいである。 オフはそんな雰囲気が苦手で、このオジサンところでは買い物をめったにしない。 また、それとは別にこれも週二度ぐらいだが、生協のトラックが回ってきて、近所の家の横で注文があった商品を降ろしている。 こちらに集まってくるのは、ほとんどが近所の若い奥さん達であるが、こちらもそれぞれの情報交換に余念がないみたいで、トラックが去った後もしばらくそこで立ち話をしてる。
 このような販売と言うか宅配的なサービスは今後とも続いていくと思う。 とくに今後10年後あたりからは郊外にちらばった団塊の世代が、そろそろ車の運転が心もとなくなるので、このようなサービス販売の必要性が一層増すと思う。


 今日のニュースに (何処だったか分からなくなったが) 夫婦で車庫の片付けをしていて、大体終わったので妻が、外へ出している車を車庫に入れようとした。 ところが車が急に勢いよくバックしてしまい、車庫の中いた夫を車庫の奥へ車ごと押し付けて圧死させてしまったという悲惨なニュースがあった。
 オフも今は買物をはじめとして日常的なことを万事車に頼っている。 しかし、この車の運転も後どれだけの期間出来るのだろうか? そんなことを思いながら今日のニュースを見ていた。 人ごとではなく、現実問題となってくるのはもう近いのである。
 

 今日の仕事


 玄関の腰板壁を組んで留める。 既存の腰板壁と色は何とかやや似てきたが、この程度で我慢するしかない。 外部の腰壁に腰板を張り、寸法を出して枠を作って塗装する。 これを留めるのは明日の仕事。