うつ、ウツ、鬱

 綾部の家を不動産屋に販売を頼んだあたりから少しウツ状態に入っていた。 <いた>と言うからにはもう脱したということだが、脱したというより無理無理内部に押し込めているという感じであるが・・・押し込めている以上何時また頭をもたげてくるか分からないのだが。
 ジンワリと内に広がる重苦しいものに心が支配されてしまう。 今まで色があった世界が、突然モノトーンになったような、いやいや、そんな程度のことではない。 心が砂を噛んだように感情が動かなくなって重苦しく、ため息ばかりが出てくる。 すべてのことが悪いふうに悪いふうに思われてしまう。
 前の妻が長年うつ病に苦しんだが、今の嫁さんも最近更年期性のうつ病が時々出てくる。 どちらかと言えば自分はウツ体質タイプの人に引かれる、これは間違いない。

 オフも40台の中頃数ヶ月ほどだったがウツになったことがある。 人に逢いたくなくて家の中の部屋で一人過ごしていた。 当然仕事にも行きたくなかった。 なぜか部屋の真ん中には座れなくて、部屋の隅っこに座って、壁ばかりを見ているというおかしな状態の毎日が続いた。
 皆が一生懸命働いているのに自分は怠け者だと思えて、どこかへ逃げ隠れたい気分に支配されていた。 さらに破産するというような妄想に取り付かれて、その後どうやって暮らしていこうか、などと悶々と考え込んだ。 とりあえず妻と子供は妻の実家へ返して、自分は一人東京へ出てラーメンの屋台でも曳いて暮らせば何とかなるだろうと真剣に考えていた。 毎日の日課だった愛犬のマロ君と散歩するのも真夜中になってからでないと出来なくて、毎夜暗がりの中を歩きながら、ある日大金持ちになるという荒唐無稽な途方もない物語を造って何とか気分を楽しい思いのところへ持っていこうとしたが、あまり効果はなかった。 もう自分としては限界だなぁ、病院へ行って薬をもらってきて飲むしかないなぁ、と思い始めていたころからだが、何が原因だったか思い出せないが、じわじわと心の中のウツが晴れていった。 ウツを脱した後は何で悩んでいたのか分からないくらいで、それまでの苦しみが嘘みたいになった。
 

 今日の仕事

 玄関横の細長い部屋、幅が一間つまり畳一枚分で長さが二間半ある部屋に一本柱を建てた。 現在真ん中に立っている柱を外すためである。
 その後既存の窓枠のマグサを外してその上の土壁を下半分ほど切り落とし、真ん中の吊り柄も半分切り落とす。 窓枠が広くなるためマグサをさらに上にあげるためである。 新しいマグサを造ったのだが、これが失敗仕事だった。 既存の柱と柱の間に横から入れるので柱に斜めに切込みを入れて片側から入れるわけだが、マグサの切り代の寸法を間違えて切り込みの分を小さく切ってしまった。 ガックリである。 高さが6寸ある材なので4000円弱と安くない。 この先これを使う箇所が出てくると思うが・・・
 その後一階の西側の柱と桁に塗装をする。 左官屋が来週初めここの壁を塗りたいと言っているからだ。 この家は西側に向いてはほとんど開口部がなく壁で塞がれているが、夏の西日を嫌うためで合理的だと思うが、それにしても徹底している。 それに来週は配管屋に独立して建っているモルタルとタイルで固めた外便所をメンデマウ。 そのために屋根のトタンやドアなど外せるものは全部外しておいてくれると仕事が早く済むと言う。 と言うことはそれだけ安上がるということだから明日にでもメンデマウカ! アハハ・・・メンデマウというのは播州地方の方言で<壊してしまう>ということらしい。