秋の夜空は

 昨夜は温泉に入ったせいか、9時を過ぎるころにはもう眠くて眠くて・・・たまらなくて寝てしまったが・・・その後ハッと起きたら、まだ11時だった。
 喉が渇いていたので缶ビールを飲むが、まだ少し飲み足りなくてさらに冷酒を飲む。 コップ半分くらいだったが、これが効いた。
 最近は酒を飲まなくなったので、少々の酒でもすぐ酔っ払ってしまう。
 外の便所へ出たが、半月がおぼろな雲から顔を出すところだった。 外の便所へ行くのは面倒だが、その都度夜空を見上げる利点もある。
 嗚呼、秋だなぁ、と夜空を見上げながらしみじみとした。
 暗い向かいの山を見上げながら酔った頭で、酔狂にも綾部まで来て俺はいったい何をしているのだろう・・・と思ってしまった。


 今日の仕事
 
 昨日段取りをしておいた書院の天井張りをする。
 都々逸に、狭いところに棹差して掃除するのは煙突屋、などというバカバカしいのがあったが、狭く、しかも高いところでする仕事は意外と大変なのである。 狭いから回り縁をなるべく小さく見せようと片面をエテボウに削ったが、エテ貌というのは、エテ公つまり猿の顔のように断面の下半分が逆さ台形の形のことをいうのだが、これをやるとお互いを突きつけたときに隙間が出来るのを忘れていて、まことにもっておかしなものになった。
 そのままにしておいた。 そのうちに気分が向けばまた何とかする気になるだろう・・・
 ここでも天井板の最後の一枚を留める手立てがなくなった。 板の表に仮にビスを二本打って、そのビスを下から手で持って板と板の間に上からそっと下ろしてはめ込んだ。 最後の板はぴったりと見事に板と板との間に嵌まり込んだ、おめでとうオフ君!君は天才だ!

 その後、縁側の床を張る下準備に入った。 とにかく部材がそれぞれの方向に傾いていたり、寸法が違っていたりする場所である。
 この間ほかの仕事をしながら、あるいは仕事以外のことをしながらいろいろ考えたが、床面の現状に合わすしかないのである。 縁側だけ水平な床にしても他との取り合いがおかしなものになるからである。 そこで寸法の元になるレベルを鴨居の下端に取った。
 本来の日本の建築の鴨居と敷居の高さは5尺8寸と決まっているので、その高さで切った棒を一本用意してある。 この棒のことを馬鹿棒ともいう。 この棒さえあれば馬鹿でも何とか寸法を間違えない仕事が出来る、ということからこんな名前が付いたのだろうか?
 その馬鹿棒で計ってみると鴨居の両端からの寸法はそれぞれ5尺8寸5分ほどで大きな狂いはない。 ただし柱は傾いているが、これはどうしようも出来ない。 デイダラボッチのような大男を呼んできて、傾いているから少し傾いた側から押してみろと言えば何とかなるのだろうが・・・日本建築は軸組工法だから、傾くことはあってもホゾが効いているので、ホゾが折れたり、ホゾが腐らない限りそのまま倒れるということはあまり考えられない。
 そうこうしながら何とか寸法を出し、大引きの高さが左右狂っていたが根太の切り込みで高さを調整して、この後床材を張れるところまで仕事をした。 結局内付けのサッシは床面に対してかなり傾いたが、縁側の床面は畳面と同じ高さになるようないわゆるバリアフリーにしたので、サッシは床面の下に来ているのでサッシが傾いていても、床は一応水平になるはずだ。

 その後、以前は押入れにしてあったが、奥行きが2尺(60センチ)しか取れない箇所を作り付けのクローゼットにするための天井張りや壁張り(ここの部分にはプラスターボードを張って仕上がりとするつもり)の下準備をして、今日の仕事は終わり。 
 明日から内壁のボード張りに入ろうと思う。